早稲田大学は再審査するべき

この報告書を読むと研究者のお作法というのはあくまでも紳士協定なのだなと思わされる。小保方さんが提出した学位論文に不備がある、すなわち、早稲田大学および学位審査委員が被害者という立場での学位取り消しは以下の報告書でできないことがわかった。

小保方リーダーの博士論文について、調査委は報道向けに配布した資料の中で、「多数の問題箇所があった」「内容の信ぴょう性および妥当性は著しく低い」と痛烈に批判している。それにもかかわらず、なぜ「学位取り消し」にはあたらない、という結論に至ったのか。弁護士でもある小林委員長は記者会見で、次のように説明した。

「学位の取り消しは一つの法律行為なので、その要件に合致しなければ、たとえ心情的にはおかしいと思っても、取り消すことができない性質がある」

紳士協定ではなく、裁判で争うことになるならば上記の結論はしょうがないと思う。でも、調査報告書で以下のように言われているのに博士号OKとしたら早稲田大学のみならず、博士号授与を行っている大学院全部が制度的に死んでしまう。

「本件博士論文には、上記のとおり多数の問題箇所があり、内容の信憑性及び妥当性は著しく低い。そのため、仮に博士論文の審査体制等に重大な欠陥、不備がなければ、本件博士論文が博士論文として合格し、小保方氏に対して博士学位が授与されることは到底考えられなかった。」と認定した

調査報告書の提言に応じて、審査体制等に重大な欠陥、不備があったことを理由にして学位の再審査を行うべきだと思う。

あと、研究(実際は創造性が高い行為はすべて)は、試行錯誤が避けられないし、人間であるかぎり誤認や過失が必ずあるので、終わった時点から振り返って失敗した・間違っていたら「不正である」とされてしまうと試行錯誤ができなくなる(確実にできることだけやろうとしてします)。だから、明示的な規則としてはどうしても不正に対して緩い規則にせざる得ない。今回のSTAP細胞問題は全部この部分をつかれている。やっぱり、過失と不正の間にもう一段階が必要という以下のエントリーの提案にとても賛成。