STAP細胞論文のCDBおよび外部評価委員会の報告書

読んだ。

上記二つの報告書を読むかぎり、CDBの執行部&ガバナンスが問題であり、これを変えなければいけないのでCDB解体すべきというのが「研究不正再発防止のための提言書」の提言。研究室単位は残し、研究室を束ねる組織を刷新せよという主旨と理解できる。

2. 任期制の職員の雇用を確保したうえで早急に CDB を解体すること。新たなセンターを立ち上げる場合は、トップ層を交代し、研究分野及び体制を再構築すること
〜中略〜
STAP 問題の背景には、研究不正行為を誘発する、あるいは研究不正行為を抑止できない、CDB の構造的な欠陥があるが、その背景にこのような CDB トップ層全体の弛緩したガバナンスの問題があり、人事異動などの通常の方法では、欠陥の除去は困難である。

さらに CDB 設立以来 14 年が経過し、この間に再生医療の分野で iPS 細胞が出現し、京都大学 iPS 細胞研究所(CiRA)が設立されるなど、発生・再生科学分野の研究をめぐる状況は、大きく変化していることも併せ鑑み、理研は、CDB の任期制の職員の雇用を確保したうえで、早急に CDB を解体すべきである。
〜後略〜

なので、以下の反応は上の提言読んでいないのではないかと。

あと、以下の提言もとても重要。

6. 研究不正を防止する「具体的な仕組み」を構築すること

1)実験データの記録・管理を実行する具体的なシステムの構築・普及

研究データの記録、ラボノートブックの管理等について、規定の整備・周知にとどまらず、研究データの取り扱いと保存について「具体的な取り決め」を定め、これを確実に実行する「仕組み」を構築すること。

  1. 研究公正推進本部のもとで、実験データの記録・管理等に関する理研としての方針(共通手順、管理体制)を定める。また、研究分野ごとの特性も考慮し、各研究組織ごとに研究データの取り扱いと管理について具体的なルールを定め、ホームページなどで明示化するとともに、その実行について現場レベルで徹底する。
  2. ルールの実行にあたっては、すべてを各研究室の PI の責任に委ねるのではなく、組織としてルールを確実に実行する「仕組み」を構築する。具体的には、横浜事業所で実行されているような実験データの組織的な記録・管理などをモデルに、研究分野の特性をいかした具体的な仕組みを構築する。研究者にとって、たんなる規制の強化とタスクの増加となるのではなく、「一定の手順に沿って普通に研究を進めていれば、とくに意識せずとも望ましいデータ管理の条件が満たされている」というような仕組みを構築する

ことが重要である。

  1. 各研究組織におけるルールの策定と、その実行については、当該研究組織の長が責任を負う。また、各研究組織における当該ルールの策定・実行について、研究公正推進本部がモニタリングを行うとともに、研究公正推進本部は必要に応じて助言、是正要求を行う。
  2. 各研究組織におけるルールの実行のための具体的な仕組みの構築を支援するため、理研本体として実験データの管理・記録に関するシステムの構築を行う。とりわけ大量の画像やシークエンスデータなど、従来のラボノートでは管理しにくいデータが大部分となりつつある。そのような現状を踏まえ、理研全体として本部が、年限を決めて、データを一元的に保存・管理するシステムを整備する(*2)。

〜後略〜

来るべき第二のSTAP細胞問題へ向けて、捏造が疑われた際の調査手続きについても自己検証と外部評価の双方を出してほしいところ。
毎日新聞:STAP細胞:小保方研究室に「ES」と書かれた容器という話が、2014年の6月半ばに発表されるなんて信じられない。最近の冤罪事件の流れからすれば、調査側の捏造を疑われる展開。また、毎日新聞:STAP論文:マウス購入記録なし 万能性証明実験前ということも2014年5月19日に毎日新聞の調べで分かっている。これも、普通なら最初に調べるところじゃないかという印象。でも、そもそも不正や捏造の調査なんてやったことない人がほとんどなので、何を調べたら良いのかわからないというのも当たり前(私が調査担当だとしても、実験ノートを調べるぐらいしか思いつかない)。

できれば、脱税を調べる国税庁の人や、粉飾決済を調べる会計事務所や公安の人、航空機事故や鉄道事故を調べる調査委員経験者、警察の方々を外部委員に向かえて、疑惑の段階別に調査対象資料の策定や調査手順などを評価してもらった方が良いと思う。こういうのは理研文部科学省レベルじゃないとできないので、嫌な話だけどぜひやってもらいたい。