遺伝子解析サービス

この記事が同時にホッテントリーにあがるとはなかなかバランス良い

米食品医薬品局(FDA)は25日、個人向け遺伝子解析の米国最大手「23アンドミー」(本社・カリフォルニア州)に対して、糖尿病など約120の病気のリスクを判定する遺伝子解析サービスを中止するよう警告したことを明らかにした。世界で40万人以上が利用しているが、判定結果に誤りがあった場合、不適切な治療を受けるなど利用者に不利益があると判断した。

従来の医療のパラダイムを根本的に変えるもう1人の立役者が、アンジェリーナ・ジョリーだ。アンジェリーナ・ジョリーと言えば、ハリウッドを代表する大女優で、俳優ブラッド・ピットの夫人でもあり、慈善活動でも有名だ。2013年5月、遺伝子検査の結果、87%の確率で乳ガンに罹るリスクがあることが判明し、乳房を予防的に全摘出したことで世間をあっと言わせた。

彼女の行動は、一見すると金持ちの奇行のように取られてしまうが、私は全く違う解釈をすべきだと考えている。むしろ、従来の予防や診断、治療の概念を根本的に変えてしまうばかりか、各国の医療制度や我々の生活も変えてしまう可能性すらある出来事だと捉えるべきではないか。
〜中略〜
また、彼女の行動は医療制度のあり方にも一石を投じている。アンジェリーナ・ジョリーが行った遺伝子検査や予防的な乳房切除は、我が国では保険対象とはなっていない。遺伝子検査だけで20万〜30万円、乳房切除と再建手術には片方で約200万円かかるという。しかもすべて自己負担である。
〜中略〜
効果も高く、トータルでの医療費が安く済む方法が保険の対象にはなっておらず、費用が高くつく方法だけが保険対象になっているのはいかにもバランスを失している。また、事前の予防か、事後の治療か、を選ぶのは患者であるべきなのに、実質的に患者の選択の幅を狭めてしまうことも問題ではないか。

昨日のホッテントリーにも同じ話題が話のまくらとしての利用だけど。

FDAは先日、23andMeの家庭用DNA検査キットの販売を禁じたばかりだ。23andMeを規制するのなら、ヘルステック(health tech)産業に属する企業の大半も、規制すべきではないか。

FDAがおそれたのは、機器の不良によって異常と判定された場合でも、消費者が不必要な手術などに殺到してしまうことだ。とくに女性の場合は、乳がんに結びつく遺伝子特性が見つかった場合には、医師のアドバイスに逆らって乳房切除を求める者が多い。しかしその検査は、“偽陽性”がよくあるのだ。

23andMeは製品のユーザに、乳がんの懸念があればより正確な検査をしてもらうよう忠告しているが、しかしFDAは、いったん持ってしまった不安はより正確な検査によってもなかなか消えないことを、十分承知していたのだ。

23andMeの製品の欠陥については議論の余地があるだろうが、でもあれを欠陥製品として規制するのなら、もっと大量に出回っている歩数計や体重計、血液検査器、睡眠検査器なども規制の対象にすべきだ。