2013年4月1日以降の博士号取得者は博士論文をオープンアクセスで公開する義務ができた

学位の授与等について定めた学位規則(昭和28年文部省令第9号)の一部がこのほど改正され,2013年4月1日以降に授与された博士の学位に係る論文(博士論文)は,原則として従来の印刷公表に代えて,インターネットを利用して公表されることになった。この改正により,基本的には2013年4月1日以降の学位授与に係る国内の全ての博士論文へのオープンアクセスが実現することになる。
〜中略〜
改正学位規則では,博士号取得者は,学位授与日から1年以内に,大学等の協力を得て論文全文をインターネットで公表することが義務付けられた。そのため,例えば共著論文を博士論文としたい場合には,共著者に事前にインターネット公表の許諾を得ておかねばならない等,学位請求者も論文執筆段階から注意が必要となる。ただし,インターネット公表ができない内容を含む(立体形状による表現を含んでいたり著作権や個人情報に関する制約があることを想定),または公表により不利益が生じる(特許申請や出版刊行の予定があることを想定)等,やむを得ない事由がある場合には,大学等の承認を得たうえで,全文に代えて要約を公表することが可能とされている。もっともこの場合でも,やむを得ない事由が解消すれば,全文をインターネットで公表しなければならない。また,博士論文の内容要旨及び論文審査の結果の要旨についても,大学等に対し,インターネットでの公表を義務付けている。

公表にあたっては,学位授与大学等の機関リポジトリ国立情報学研究所(NII)が提供する共用リポジトリサービスによるリポジトリを含む)を利用することが原則とされている。機関リポジトリを有しない大学等については,機関リポジトリが整備されるまでの間,大学等のウェブサイトでの公表や,後述する国立国会図書館(NDL)への送信及びNDLによるインターネット提供をもって,機関リポジトリによる公表に代えることができる。

〜後略〜

いろいろ配慮されているようで何より。予想外な点は、博士論文の電子ファイルは機関リポジトリで公開するという点。てっきり、国会図書館で一括公開するのかと思った。公開保留期間などの事務手続きを考慮した上での話なのかな?CiNii ArticleかCiNii Booksで検索がひっかかる(=Google Scholarでひっかかる)ならば、物理的にどこにあってもよいっていえばよいと思うけど、可能なら国立国会図書館に物理的にもおさめておいた方が良いとは思う。あるいは、NIIが提供予定の機関リポジトリクラウドにしても良いとは思う。