博士論文のオープンアクセス化に向けて、学位規則改正案に関するパブリックコメント

エントリーにしようとして忘れていた。年明けすぐの1月4日が締め切り。

私の所属コースだと発表済みの論文を編集する形で博士論文を作ることが多いので、博士号取得後1年以内の博士論文のWebでの全文公開は問題ないけれども、本として博士論文を出版するのが標準っぽい人文系や「博士論文には未発表のことを書かなければいけない」という縛りのある分野だと、公開時期、ライセンス回り(特に商用利用について)は、パブリックコメントを出しておいた方が良いとは思う。

特に人文系は、博士号取得者が少ないので年長者の発言に任せていると、今、博士課程にいる人やこれから博士号を取ろうと考えている人に不利な状況が生まれるかもしれないので、2000年以降に博士号を取られた方は、後輩のためと思って、オープンアクセス化で困ったことが起こらないようにパブリックコメントを出してあげてはいかがかと思う。

一方で、理工系の場合は発表済み論文との内容の兼ね合いが問題かも。特に図と表。そこいらへんどういう風にするのだろう?

学位規則の改正案について

学位規則の改正案(PDF)より転載)

第一 改正の趣旨

博士の学位を授与された者は、博士論文を印刷公表することとされている(学位規則(昭和28年文部省令第9号)第9条)ところ、大学院における教育研究成果の電子化及びオープンアクセスの推進の観点から、印刷公表に代えて、インターネットを利用して公表することとするための改正を行う。

併せて、博士論文要旨等の公表(同第8条)についても、インターネットを利用した公表とするための改正を行う。

第二 改正の概要
  1. 博士論文要旨等の公表について

ットの利用による公表とする(第8条関係)

  1. 博士論文等の公表について
    • 博士の学位を授与された者が行う、当該博士の学位の授与に係る論文又はその内容を要約したものの公表について、その方法を、印刷により公表することに代えて、当該博士の学位を授与した大学又は独立行政法人大学評価・学位授与機構の協力を得てインターネットにより公表することとする(第9条関係)
  2. 施行期日
    • この改正は、平成25年4月1日から施行するものとする(附則関係)

学位規則の改正案に係る考え方(補足)

学位規則の改正案に係る考え方(補足)(PDF)より転載)

1 大学等の協力を得て行う博士論文等のインターネットの利用による公表について(第9条関係)

博士の学位を授与された者が行う、当該博士の学位の授与に係る論文又はその内容を要約したもののインターネットによる公表は、当該博士の学位を授与した大学又は独立
行政法大学評価・学位授与機構(以下「学位授与大学等」という。)の協力を得て行うこととする。

これは、インターネットの利用による公表は様々な形態が考えられる一方で、博士の学位を授与された者各人が各々の手法でインターネット上に公表するのではなく、長期
にわたり継続してインターネットを利用した公表が維持されるためには、学位授与大学等が責任を持って一元的に管理し、発信することが望ましいと考えられるためである。

学位授与大学等の協力を得て行うインターネットの利用による公表とは、各学位授与大学等の機関リポジトリ国立情報学研究所が提供する共用リポジトリ(JAIRO Cloud)を含む。)やホームページの活用を想定している。

2 博士論文の全文に代えてその内容を要約したものの公表とすることができる「やむを得ない事由」について(第9条関係)

博士論文の全文に代えてその内容を要約したものの公表とすることができるやむを得ない事由とは、インターネットによる公表により明らかな不利益が発生する場合(全
文が出版刊行や学術ジャーナルへの掲載により一年の猶予期間を超えた制約がかかる場合、秘匿すべき情報を含む場合等)や、印刷公表は可能でもインターネットによる公
表が不可能な内容を含む場合(当該論文紙面に立体形状による表現を含む場合等)等を想定している。

国立国会図書館への博士論文の送付について(その他)

これまで昭和50年大学局長通知に基づき各大学において行われてきた国立国会図書館への博士論文の送付については、これまでの印刷物の送付に代えて、博士論文に係
る電子データを国立国会図書館に送付することとする旨、各大学に通知することを予定している。

なお、国立国会図書館は送付を受けた電子データの公表について検討しており、この場合、博士の学位を授与された者は、学位授与大学等を通じて国立国会図書館に電子デ
ータを送付することをもって、インターネットによる公表を行ったとすることも可能となる。