面白さの指標として適切かどうかを論じるべきだった

はてなブックマークをたくさん集めている方だけ読んでも理解出来なかったけど、その前のエントリーを読んだらなんとなくわかった。

ソーシャルゲームの世界では専門用語が飛び交う。KPI(key performance indicator、重要業績評価指標)、ARPU(Average Revenue Per User、1人あたり平均売り上げ)、DAU(Daily Active Users、1日当りアクティブユーザー数)、MAU(Monthly Active Users、月間のアクティブなユーザー数)、LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)など、三文字単語がずらずらと並ぶ。

ソーシャルゲーム会社の人たちに取材するなかで、こうした数字を重視して、それらの数字を高めていくことこそ、ユーザーの満足度と同じと語られる姿にはどうにも違和感が残る。ある企業は「データ様」とまで呼んでいた。

本当にその数字の向こう側に存在するユーザーが見えているのだろうかという違和感が強くある。

こういう感覚は、ソーシャルゲームに重課金で遊んでいるユーザーが、なんらかの中毒といった問題を引き起こしているのではないか、という社会的な疑念を生みだしやすい土壌でもあるのだろう。

面白さの代替指標として、ソーシャルゲームの提供側が、KPI(key performance indicator、重要業績評価指標)、ARPU(Average Revenue Per User、1人あたり平均売り上げ)、DAU(Daily Active Users、1日当りアクティブユーザー数)、MAU(Monthly Active Users、月間のアクティブなユーザー数)、LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)を使っていることに疑問を抱いている。

2つ目の記事に寄せられた以下のはてなブックマークコメントが面白さの代替指標としてKPI、ARPU、DAU、MAU、LTVを使うことへの率直な感覚を述べていると思う。

  • redmagic1417「需要拡大にはアル中大量生産が一番ッス。美味しさとか無意味っす」「よし、データサイエンティストに月1000万払っても儲かりまくるな。念のため法務確認な」「法整備くるまでが勝負っスね」 って感じだからでしょ

私もそれは疑問。金を払ってくれる良い客、金を稼いでくれる良い商品の評価指標であって、面白いものであるかどうかとは別(当然、重複する可能性もある)。

この疑問に答える目的で議論が進むのかなと思いきや、上記の測定尺度(メトリックス)が面白さの代替指標として適切かどうかの議論がないまま、以下の結論にいく。

ソシャゲが登場した頃(今でも)既存のゲームが好きな開発者やユーザーの間には嫌悪感が広く喚起された。この反応は、過去に起きた反応と同じだと言ってもいいだろう。我々はワイン愛好家と変わらない。我々は自分たちが、統計的な存在にされたときに、「機械的」に感じて、ゲームをつまらなくしているように直感的に感じてしまう。それは、人間自身がそう感じるように作られているからである。

有料ゲームはビジネスなので、お金が儲けられる商品であるかどうかをデータに基づき評価するのは当然の話。ただし、「ゲームの面白さ=そのゲームでどれだけ儲けられるか」ではないのも当然の話(これがOKなら、麻薬は「みんなが求めている良い商品」になる)。お金が儲けられて、かつ、利用者をそれほど煽らず、かつ、利用者に面白さを届けられるゲームが一番良いよねという当たり前の話になる。