『人を助けるすんごい仕組み』の書評

Togetter:『ふんばろう東日本支援プロジェクト・代表・西條先生 震災後、1年半で思うこと』に佐藤先生がコメントしたら・・・を読んで、ふんばろう東日本支援プロジェクトがいったい何をやらかしたのだろうと思って、Togetter:ふんばろう東日本支援プロジェクト・代表・西條先生 震災後、1年半で思うことを読んだ。で、最初のまとめで以下の書評が紹介されていたので読んだ。

「なんで、こんなに目の敵にしているんだ?」と思ったけど、「書評の舞台裏」というエントリーを読んで納得した。そもそもの立ち位置の問題なのね。リンク:ふんばろう東日本支援プロジェクトでしって、寄付した人は確定申告をしように書いたようにふんばろうサポータークラブに入っているので、このプロジェクトに擁護的見方なのだけど、『人を助けるすんごい仕組み』は、実践報告書として面白いけど、ボランティアの組織論としてはたぶん練られていないと思う。その点で上記書評はだいたい妥当だと思う。ただし、「そこはどうでもいいんじゃない?」というところも多いと感じた。特に、ボランティア組織は会社以上に機能的組織なのだから、その評価は理念や組織体系でなく機能していたかどうかで評価されるべきであると思う。その点でいうと、組織論が甘いので組織としてダメだという暗黙的な主張はちょっと踏込すぎだと思う。反行政の姿勢については、実際の現場が反行政の振る舞いをしているかどうかがわからないと批判するのは難しいと思う。まあ、行政側はトップが批判的である組織に対して良い気分をしないというのは確かだけど。

先日聞いたOSC 2012 Fall:iSPP調査報告:「東日本大震災 被災地住民の情報行動から学ぶ」でも、ボランティア同士、支援に協力した企業同士、ボランティアと企業同士が協調できなかったのが問題点であると述べられていたので、ことさら、ふんばろう東日本支援プロジェクトだけが協調できていなかったわけではないと思う。
Togetter:2012.3.7-8にかけての、とあるやりとりにある被災者からのインタビューを本人の同意なく本にしたという点については、上の書評で指摘されている個人情報を責任を持って保護する主体がないのは問題ではないかという指摘がもろにあたってしまった点であると思う。

一方で、書評で指摘されているような条件をみたすボランティア組織は普段からボランティア活動やNPOで活動していないと構築できない。すると、普段から活動しているボランティア組織やNPOしか(すなわち経験者しか)支援が行えないとするならばOSC 2012 Fall:iSPP調査報告:「東日本大震災 被災地住民の情報行動から学ぶ」で述べられていた同時多発的支援活動の実現は不可能になってしまう。

私から見た、ふんばろう東日本支援プロジェクトの魅力は、がっつりは支援できないけど自分のできる範囲で支援したいという小さな善意をくみ上げたところ、すなわち、支援の敷居を下げて小さな善意をくみ上げたところにある。この魅力は弱点と表裏一体なので、難しいところ。

うまくまとまらないけど、とりあえずメモ。

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