リンクー科学技術政策研究所:我が国の博士課程修了者の就職意識・活動に関する調査研究

データえっせい:専攻別にみた博士課程修了生の惨状が面白いと思った人は、科学技術政策研究所:我が国の博士課程修了者の就職意識・活動に関する調査研究に目を通しても面白いと思う。

本報告書は、博士課程への進学に際して課程修了後のキャリアに対する不安がある4ことを鑑み、日本の博士課程修了者の就職活動の実態把握と、課程修了後のキャリア選択の支援につながる取組みを明らかにすることを主たる目的とする。本調査自体は、すべての課程学生(一般学生、社会人学生、留学生(日本政府国費留学生、外国政府国費留学生、私費留学生))を対象に実施したものであるが、博士学生の進路や就職活動に関する議論5を概観する限りでは、主に課程に在籍する博士学生の就職活動に対する問題提起や提言が多く見受けられることや、課程博士のおよそ半数を一般学生が占めることを考えると、全回答者から論文博士、社会人学生および留学生を除いた一般学生を分析対象とすることで、日本の博士課程修了者の就職活動の実態を把握する上で有益な情報を得られるものと考えられる。

全回答者に占める課程博士の割合は94.4%であり、課程博士のうち一般学生(以下、課程・一般学生)の割合は67.9%である(図表1−4の青点線で囲んでいる箇所)。
(p. 4より)

図表2−63は回答者の博士課程修了後の予定をみたものである。博士課程修了後に就職する者の割合17は79.4%であり、平成22年度学校基本調査で示された就職者の割合と比較して17.7ポイント高い。

学校基本調査と比較して回答者の就職割合が高い背景には、調査対象大学のサンプリングや回答者の分野構成による影響以外に、本調査の回答が博士課程修了者本人であることから、学校基本調査では「不詳・死亡の者」に区分される者の該当がないことや、学校基本調査では「一時的な職に就いた者」や「左記以外の者」に区分されていた者が就職予定として回答した可能性が考えられる。
(p. 37より)

図表2−65は博士課程修了後の就職予定を分野別にみたものである。理学、工学、保健、その他4分野では就職する者の割合が83.3%、86.2%、82.2%、78.2%と相対的に高く、人文と社会では就職する者の割合がそれぞれ54.2%、64.2%と相対的に低い。就職活動をした場合の就職割合は分野間で異なる。
(p. 38より)

回答者のうち、博士課程修了後に就職する者(838名)の進路詳細をみると、うち日本国内の機関に就職する者が92.6%(776名、回答者に占める割合は73.6%)と大多数を占め、国外機関に就職する者は7.4%(62名、回答者に占める割合は5.9%)である。なお、就職にはポストドクター等の任期つきの職を含む(図表2−66)。
国外機関に就職した者(62名)は、回答者のおよそ17人に1人に該当する。

〜図省略〜

上記に関連して、博士課程修了後の進路を分野別にみると、国内の教育機関(大学等)に就職する割合は社会では84.3%と相対的に高い。国内の民間企業に就職する割合は、工学が48.8%と高く、次いで理学が34.1%、保健が34.0%である。人文と社会の2分野ではそれぞれ6.3%、2.0%と低い。
また、日本国外の機関への就職をみると、理学では教育機関(大学相当)に就職する者の割合が他の分野と比較して相対的に高い(図表2−67)。

(p. 40より)

この調査によると、工学系では博士号取得者の半分近くが民間就職しているということ。もっと、アカデミア志向かと思っていたので驚いた。