悪法も法という事例っぽい:PTA会費 広がる不適切支出 読売新聞調査

大学は寄付で対応しているけど、公立の小学校〜高校の場合はこっちしか方法がないのかな?

公立学校でPTA会費など保護者からの徴収金が教職員の人件費や校舎の修繕費に流用されていた問題で、読売新聞は6月、47都道府県と20政令市の教育委員会を対象にアンケートを行った。過去5年間の保護者徴収金の使途を聞いたところ、29都府県と10政令市で不適切な支出があったことがわかった。「わが子が通う学校のためならば」といった保護者の厚意に学校が漫然と甘える構図が見え隠れしている。

「PTAから『何か役立つことはないか』と申し出があったので、比較的安価な庭の手入れをお願いした」

本来は公費で負担すべき校庭の樹木の剪定(せんてい)費をPTA会費で賄っていたある高知県立高校の校長が明かす。

県内の別の高校では生徒1人あたり年間500円を保護者から集め、部活動の遠征旅費などに充てていた。教職員の引率旅費などは学校が賄うべきだが、PTA代表の男性は「県教委の予算が減るなか、子どもが世話になっている学校を親が支えるのが当たり前だと思っている」と話す。

高知では、県立の34校中33校で、教員の部活動引率費や、図書室の事務補助員の人件費などに保護者のお金が充てられていた。県教委の担当者は「法に全ての事例が記されておらず、使用目的の了承を得ていたので違法性があるとは思っていなかった」と釈明する。

アンケートは、文科省が5、6月に行った全国調査の時期に合わせて実施。読売新聞は3月にも都道府県教委に聞き取りを行っており、和歌山、茨城、大分など14府県の計約200校での不適切支出が判明していた。今回のアンケートでは、文科省調査で各教委が改めて各校に報告を求めたことで、前回の聞き取りでの未把握分もわかった。

新たな判明分は、青森、山梨、高知などの15都県と、横浜、名古屋、神戸、北九州などの10政令市。青森では、県立高校68校のうち66校で除雪作業の人件費など計約7億6440万円をPTA会費などで賄っていた。

一方、是正に乗り出した自治体もあった。北九州市では1校が、市教委に無届けの早朝補習で教員に1回3000円を保護者徴収金から支払っていたことが判明。市教委は今年度から届け出をさせたうえで教員手当を公費から支給することを決めた。

文科省初等中等教育企画課の話「法的な問題が考えられるケースは、各自治体に個別に状況を聞く。明らかな法令違反が確認できれば、是正の指導をする」
(2012年7月1日 読売新聞)