リンク:ITベンチャー、電子看板で効果競う

電子版でこの記事の補足説明が面白かった。

例えば顔認識システムとの連携。ブイシンクの電子看板システムには、広告を見ている人の顔の特徴に関するデータをカメラで読み取り性別や年齢層を識別する技術が搭載されている。顧客分析などに利用でき、大型商業施設など導入実績は累計で100台を超える。

技術的に広告を見ることの対価を即時徴収することが可能となってきている。この場合は広告を見ることの対価として、属性情報を支払っている。

正直、属性情報取られるぐらいならば別になんとも思わないけれども、電子看板に顔認識可能なレベルのカメラが標準で搭載されているのは気持ち良い話ではない。それが、ネットワークでつながっているとなると特に。広告を見る対価として属性情報を得るスタイルのビジネスを展開する人は、あらかじめプライバシーとセキュリティ、あと、公安(治安維持?)系の法律および仕組みに詳しい人と仲良くなっておいた方が5年後ぐらいにうれしいかもしれない。

CSI NYの新たなネタが今ここに「アダム、あそこにあるのは何だ?」「ああ、あれは電子看板ですね。広告見ている人の顔認識をして、どの広告がどんな層に注目されているのかを抽出しているんですよ。」「あの看板を設置している会社にあたって、推定犯行時刻の画像を回収してくれ」。

追記(2012年11月29日):この会社かどうかはわからないけど、これ系統の商品が問題になっている。

通行人などの顔を自動判別する「顔認識」方式のカメラが増えているが、このうち首都圏の商業施設や大規模マンションの29台で、断り書きなしに撮影が行われていたことが読売新聞の調べで分かった。

 広告用ディスプレーに小型カメラを埋め込み、視聴した人の性別や年代を分析して顧客分析に利用するのが目的だ。設置業者は「個人を特定しておらず問題ない」としているが、専門家からは「ルール整備が必要」などの声が上がっている。

 東京都江東区の大型商業施設「ららぽーと豊洲」。店舗案内を流している高さ約2メートルのディスプレーの上部に、小型カメラが設けられている。外観からは分かりにくいが、終日、客の顔を撮影し、どの広告をどんな客が見たかを分析している。ららぽーとを運営する三井不動産グループによると、2009年11月に同店で10台導入し、10年3月からは新三郷店(埼玉)でも8台稼働させているが、いずれも撮影は明示していない。

 このディスプレーを開発したシステム開発会社によると、撮影した顔の映像から性別と年代を推測し、「10歳未満男性」「10代女性」など10属性に分類。録画はしていないが、属性情報は毎月、ららぽーとと広告主に提供。豊洲店では週に1万〜2万人分のデータにのぼるという。

 このほか、この開発会社では昨年12月以降、東京・秋葉原のパソコン店10店で同じディスプレー各1台を、中央区のタワーマンション敷地の屋外でも1台をそれぞれ稼働させているが、いずれも客や住民に撮影は通知していないという。

 一方、スーパーの西友も昨年6月から北区と神奈川県横須賀市の2店舗で同じディスプレー計6台を撮影の明示なしに導入していたが、同8月に中止した。

 個人情報保護法の指針では、個人が判別できるカメラ映像を個人情報と規定。同法では個人情報を取得の際、目的を通知・公表しなかった場合、所管官庁から是正命令を受け、従わないと6月以下の懲役または30万円以下の罰金となる。

 開発会社と三井不動産は「録画せずに性別や年代だけの情報に変えており、問題ない」とし、西友も「個人情報には当たらず、問題ない」としている。

 これに対し、同法に詳しい岡村久道弁護士は「情報が匿名化されているなら個人情報とはいえないだろう」としながらも、「防犯目的ならともかく、商用利用では納得できない人も多いだろう。撮影していることを客や通行人にわかるように明示すべきだ」と指摘する。
(2012年11月28日15時48分 読売新聞)