予断を持たず正直に状況を伝えるのが一番良い受診法

平均的に良心的な医者が多いと仮定した上で、素人が放射性物質に由来するかもしれない疾患を間違いなく見つけてもらう方法としては、予断を持たずに正直にかつ正確に今の状況を伝えるのが一番良い受診方法だと思う。

メカニズムは推測ですし、未知の要素がある可能性は排除できませんが、今のところこれらの理由から、重大な疾病である可能性は低いけれども、低線量地域で放射性物質により鼻血が出る可能性を否定すべきではないし、できる範囲においてきちんと警戒しておいた方がよい、と私は考えています。

こういう文字通り未曾有の事態において、メカニズムが確定するまで「ない」ものとして扱うというのは、松原望先生が水俣病において指摘した問題そのものです。

もちろん国は第一に福島での対策にあたるべきですから、周辺の対策にどれくらいのリソースを割くべきか、というのはまず、それぞれの事情により個々人が、あるいは自治体等が民主的な話し合いによって、決定することです。

事情が許すならば、協力して発生件数や場所などのデータを集めておけば、のちのち役に立つかもしれませんね。

放射性物質に由来するかもしれない疾患を恐れて、予防するのは個々人の健康と心の平安にとって重要だと思うけれども、実際に体調不良を覚え受診するときには放射性物質由来かどうかは医者の判断に任せ、自分の現在の状況を自分に正直にかつ正確に医者に伝えるのが重要だと思う。「正直に」というのは、痛いのに「痛くない」といったり、常に体がだるいのに「それは精神的にたるんでいるだけだ」と自分を騙さないことを差す。

医者が可能性を検討できる範囲を患者が自ら潰してはいけない。診断は、手に入れたデータに基づき、最も可能性が高いものから順番に検討していくというプロセスなので「提供されたデータに抜け、間違い、嘘がある」ならば、「最も可能性の高い疾患」の見積もりが間違ってしまう。

自分が専門家としてトラブル解決を行うときを思い出して欲しい。一番、困る相談者はどういう振る舞いをするだろうか?困る相談者の典型的な振る舞いの一つは、自分で原因を決め付けて、正確なデータを提供しないというもののはず。

放射性物質に由来するかもしれない疾患を恐れるあまり、別の原因に由来する疾患を見過ごされてしまうのは良くない。鼻血がずっととまらなかったり、咳がとまらなかったりするならば、遠慮なく受診し、そして、自分の現在の状況を自分に正直にかつ正確に医者に伝えるように心がけ、安心と健康を手に入れた方が良い。