15日23:00時点での福島原発の状況について私の理解

やっと自分なりには理解できた。自分の理解を整えるためにメモ。

なお、私は原子力発電に関して全くの素人です。質問されても答えられる知識はありません。私と同じような部分で用語がわからなかった人や参考になるWebページが探せなかった人に役立つかもと思って公開しています。

理解まとめ

  • 放射性物質はある程度もれている。ただし、量が少ないので放射性物質の拡散範囲が広くなればなるほど、人体への影響がすくなくなる
  • 圧力容器が壊れない限り、大量の放射性物質は原子炉から漏れない
    • そのために水を入れ続けないといけない
    • 「炉心溶解が云々」という記事に反応は不要。「圧力容器が壊れる」という主旨の記事には反応すべき(警戒レベルを上げる)
  • 圧力容器と格納容器の双方に穴があくと大量の放射性物質が漏れる
    • 2号機は圧力抑制室に穴が空いている状況
    • 1,3号機はまだ穴が空いていない。
    • 圧力容器と格納容器の双方に穴があいた場合は、福島原発の周辺に被害が長く残る可能性がある。ただし、他の地域については状況次第。距離がある場合は、まだ落ち着いていて良い
  • 圧力容器と格納容器の双方に穴があいた上で、爆発が起こったならば最悪の事態。原発から離れていても要対応。

私の理解

まずこれを読むA Successful Failure:MIT研究者Dr. Josef Oehmenによる福島第一原発事故解説。この文書が信用できるかどうかは、Dr. Josef Oehmenの元の文書を今はMIT Department of Nuclear Science and Engineering. Members of the NSE communityが修正して、更新しているので心配な方は上記の翻訳とModified version of original post written by Josef Oehmenと照らしあせてその差を確認のこと。

上記の文書の図がわかりづらいと思うので日経新聞:「最後の砦」格納容器の一部破損 被害急拡大の恐れの図を見ると良い。記事本文はこの段階では理解しづらいと思う。

ポイントとなるのは2点。圧力容器(Dr. Josef Oehmenによる福島第一原発事故解説でいう「第二の格納容器」 or 「圧力釜」)と格納容器(Dr. Josef Oehmenによる福島第一原発事故解説でいう「第三の格納容器」or「最終防衛ライン」)に穴が開いているかどうかが一つ。もう一つは、二つの容器に穴が開いた状況で爆発を起こすかどうか

圧力容器と格納容器に穴が開くと、無害化するまで期間の長い放射性物質が流出してしまう。容器に穴が開いた状態で爆発が起こると無害化するまで期間の長い放射性物質が広範囲に拡散してしまう。

Dr. Josef Oehmenによる福島第一原発事故解説にあるとおり、炉心融解メルトダウン)が困る原因は、高温により圧力容器と格納容器に穴を開けてしまうため(Dr. Josef Oehmenによる福島第一原発事故解説によると、格納容器は炉心融解には耐えられる仕組みになっているとのこと)。炉心融解を起こさせないように、圧力容器の中に海水を注入して、温度を下げようとしているのが現状。

「圧力が云々」「水位が云々」「炉心が露出した云々」はすべて、圧力容器での話し。核燃料が高温であるため、水を入れてもすぐに蒸発してしまう。なので、水蒸気を排気しないと新たに水を投入できない。なので、圧力を調整しつつ水を注入し、核燃料の排熱をとらないといけない。

14日深夜から話題で、日経新聞の記事「最後の砦」格納容器の一部破損 被害急拡大の恐れ 」の一部破損と説明されている部位が「圧力抑制室(サプレッションチェンバー)」なんの働きをするものなのかは、東大の早野教授の説明を参照。圧力容器内の水蒸気を排気するためのもの。

日経新聞の記事「最後の砦」格納容器の一部破損 被害急拡大の恐れ 」で書いてあるとおり、圧力抑制室内の気圧がさがったことから、圧力抑制室に穴が開いたと考えられる。圧力抑制室は、格納容器の一部なので、格納容器に穴が開いたという報道になった。

一方で、15日朝に行なわれた原子力安全・保安院の会見の内容を早野教授が解釈したところによると以下のようになるらしい。この穴からもれる放射性物質ウランではなく、核分裂の著中性生物である(すなわち、1号機でもれてしまったのと同じもの)。

もれている放射性物質に関しての知識は原発に関するQ&Aまとめ+ 3/15-02:48更新を熟読のこと。特にQ1-16とQ1-22。

私の理解した状況としては

  • 放射性物質はある程度もれている。ただし、量が少ないので放射性物質の拡散範囲が広くなればなるほど、人体への影響がすくなくなる
  • 圧力容器が壊れない限り、大量の放射性物質は原子炉から漏れない
    • そのために水を入れ続けないといけない
    • 「炉心溶解が云々」という記事に反応は不要。「圧力容器が壊れる」という主旨の記事には反応すべき(警戒レベルを上げる)
  • 圧力容器と格納容器の双方に穴があくと大量の放射性物質が漏れる
    • 2号機は圧力抑制室に穴が空いている状況
    • 1,3号機はまだ穴が空いていない。
    • 圧力容器と格納容器の双方に穴があいた場合は、福島原発の周辺に被害が長く残る可能性がある。ただし、他の地域については状況次第。距離がある場合は、まだ落ち着いていて良い
  • 圧力容器と格納容器の双方に穴があいた上で、爆発が起こったならば最悪の事態。原発から離れていても要対応。

以上のような状況なので中日新聞:「圧力容器壊れていない」「世界初の事態では」 分かれる識者の見方というように意見がわかれる。

福島原発で作業をしているみなさん、ご無事でがんばってください。