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いきいき研究室増産プロジェクトFORUM2011

イベント

いきいき研究室増産プロジェクトFORUM2011に参加してきた。

Twitter@ikiikilabさんの発言をみていて、大学研究室の歩き方講座を読んで、「大学研究室の歩き方講座」の感想を書いたこともあったので、今回参加してきた。

当日の様子は、博士のシェアハウスの山田さんが主につぶやかれていた。

「研究室はどのような学生を育てているのか?〜理工系研究室の調査結果から読み解く〜」

最初のプログラムは、独立行政法人大学入試センター研究開発部の濱中淳子先生の講演。前半は研究室における教育が中央教育審議会においては否定的にとらえられているということ、後半は、工学系研究室卒業者に対するアンケート調査をベースとした研究室教育の効果について説明されていた。詳しい内容は上記のTogetterまとめに詳しい。

平成17年(2005年)に出された新時代の大学院教育−国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて−答申第2章 新時代の大学院教育の展開方策に書いてある現状の研究室教育の評価は以下のとおり。

人社系大学院の博士課程及び修士課程に共通する教育・研究指導の在り方

人社系大学院における教育・研究指導には,これまで,ややもすると学生の教育がそれぞれ特定の研究室の担当教員による個人的な指導に過度に依存する傾向も見られた。しかし,各課程の目的と教育内容を明確にしつつ,教育・研究指導を実効性あるものにするためには,各専攻において授業内容を体系的に編成するなど,組織的に教育を計画することが求められる。

理工農系大学院の修士課程及び博士課程(前期)に共通した教育・研究指導の在り方

従来,多くの理工農系大学院においては,学生に対する教育と教員の研究活動が渾(こん)然一体となって行われ,学生に対する教育が研究室の中で完結するような手法が中心となってきた。しかし,この方法は,個々の教員の指導能力に大きく依拠するため,場合によっては,専門分野のみの閉鎖的な教育にとどまり,産業界等で求められる幅広い基礎知識や社会人として必要な素養が涵養されにくいなどの課題が指摘されている。

今後は,個々の教員による指導はもとより,各研究科・専攻における組織としての計画的な教育に力点を置いていくことが,より効果的な場合が多いと考えられる。

医療系大学院

医療系大学院における教育・研究指導には,これまで,ややもすると大学院学生が所属する各研究室の指導教員に教育を任せ切りにするという傾向も見られた。しかしながら,先に示したように大学院の目的と教育内容を明確にし,教育・研究指導を実効性あるものにするためには,専攻単位で組織的に教育活動を計画することが重要である。

また,専攻を単位とする組織的な教育活動が,動物実験や遺伝子実験,放射線の取扱いなど単に様々な診療上や研究上の規制に対応した知識・技術のみを修得させるのではなく,体系的な教育を提供するという課程制大学院の趣旨に沿ったふさわしいものとなるよう,関係者が努力していくことが強く求められる。

濱中さん曰く、教育学者にとって当たり前に正しいとされているモデルにマーチン・トロウの高等教育システムの段階的移行に伴う変化モデルがあるとのこと。これは進学率に応じて、教育のシステムの変更が必要となるという話。

理工農系の大学院進学率は50%近くになる。よって、上記モデルに従うとエリート型(従来の研究室による教育)からマス型(コースワークによる教育)へ移らなければならないという教育学者の考えから、研究室教育に対してネガティブな見方がされているのではないかというのが濱中さんの考えだった。

私もメタ研究技能についてはコースワーク化し、メタ研究技能の習熟については個々の研究室主催者の能力に依存しないようにするべきであると考えている。でも、それは研究室教育と補完的にあるものであって、研究室教育をコースワーク教育に移し変えられるものではないと考えている。

研究室教育の効果に関するアンケート調査については、特に印象に残らなかった。この調査結果については以下の本の中でより詳細に論じられているとのこと。

研究室ケーススタディ「うまくいかないのは誰のせい?」の紹介・討論

ある研究室において、M2の昌子さんが研究がうまくいかなくなった経緯について書かれたA4用紙2枚程度のケースを読み、それを元に誰にどういう責任があるのか、そして、何をどうすればうまくいくのかを6人ほどのメンバーで話し合おうというものだった。

これが非常にうまくできていた。

第一に、このケースが非常にリアリティーがあって良く出来ていた。登場人物は、修士2年の昌子、同級生の男子学生、博士1年生の男子学生、助教、そして教授の計6名。誰もがそれぞれの自分の理由で振舞っており、悪意を持って振舞っている人は誰もいないという状況。

第二に、議論を行うメンバーについてPI、助教ポスドク、学生の3種類の立場の人が少なくとも1人ずつ割り振っているということ。これにより、それぞれの立場より多様性のある意見が交換できる。

第三に、議論をうまく制御していたこと。意見の交換を以下のステップで行われた。

  1. まず、個人ごとに昌子の研究がうまく行かなかった件について上記の6名を責任が重い順に順位付ける
  2. 全員が順位をつけ終わった後に、それぞれがそうした理由を他のメンバーに説明していく
  3. 上記6名に対して、何が悪いのかについて列挙し、意見の交換を行う
  4. 上記6名に対して、何を変えたら現状を変えられるのかを列挙し、意見の交換を行う

このように、個々人でまず自分の考えを決めてから、他の人にその考えを説明するという順番で進むので、誰かおしゃべりな人がしゃべり続けるという事態を回避できる。また、誰が悪いのかで終わらせず、どうやったら解決できるのかを考えさせるため、それぞれの立場から前向きな考えを得ることができ、参加者にとって有意義になる

ぜひ、このケーススタディのやり方がより洗練されて、どの大学でも行われる授業になると良いと思う。

研究室での“有益な”コミュニケーション〜根源と事例から〜

このセッションは、大学研究室の歩き方講座に登場するシチュエーションを題材として、どのように振るまえばよいのかをクイズ形式で回答するというもの。グループは前回のケーススタディを引き継いでいる。

8グループぐらいあったのだけど、ほとんどのグループで回答が同じになったのは面白かった。

おわりに

ケーススタディーが非常によかった。参加してよいイベントだった。