奨学金貸与基準の厳格化

メモ

文部科学省日本学生支援機構を通じて行っている大学・大学院生の奨学金事業の貸与基準を、12年度をめどに厳格化する方針を決めた。家庭の実収入を貸与の判断材料とし、審査基準となる家庭の収入を「主たる家計支持者の所得」から「父母の総所得」に変更。不適切な申請を防止することで、学費負担に苦しんでいる学生に優先的に好条件の奨学金が渡るようにする。【篠原成行】

 ◇「主たる家計支持者の所得」を「父母の総所得」に

支援機構の奨学金には無利子の第1種と上限3%の有利子第2種があり、すべて貸与型。第2種は原則、基準を満たす希望者全員に貸与されるが、第1種は貸与枠が限定されている。10年度は全大学・大学院生292万7000人のうち118万人が貸与を受けた。09年度の総貸付金残高は6兆2337億円、要返還債権は4兆140億円に上っている。

現在は主たる家計支持者の年間所得が▽第1種は951万円(私立大998万円)▽第2種は1292万円(同1344万円)−−以下なら、各校に割り当てられた定数内で貸与を受けられる。主たる家計支持者は父、母など所得のある家族1人を指定すればよい。

しかし昨今の不況の影響もあり、奨学金住宅ローン返済に回す保護者が確認され、父に貸与基準以上の所得があるにもかかわらず低所得の母を家計支持者として貸与を受けるなど、「学問を志す苦学生の支援」という本来の趣旨を逸脱する事例が見られるようになった。文科省や支援機構にも苦情が寄せられ、厳格化を迫られた。

資格審査が主たる家計支持者となったのは99年度。日本育英会(現日本学生支援機構)が原則、基準を満たす希望者全員に貸与するとしたため、申請者が急増。審査簡素化に迫られ、審査基準を家庭の総収入から1人の所得だけに緩和した。

この結果、10年度の第2種の貸与者数は83万5000人で、98年度の約8倍に。貸与枠を拡大していない第1種は39万3000人から34万9000人とほぼ横ばいだった。

多くの申請者はまずは条件のいい第1種に申請するため、実際は基準を超える所得のある家庭の子供が無利子で貸与を受けているケースがあるという。文科省は新基準で実態に即した貸与を目指す。

角を矯めて牛を殺すにならないようにしてほしい。それにしても、矢継ぎ早の日本学生支援機構に関する報道。なぜ?