工学発展の必然:ソフトウェア開発者の二極化

プログラマはもう要らない」。大手物流会社のシステム子会社で新技術の社内展開を進めるマネージャーはこう言い切る。ここでいうプログラマとは、企業情報システムの開発プロジェクトでプログラムを作成する担当者を指す。ある開発ツールを検証したところ、こうした役割の要員は不要との結論に至ったというのだ。

このマネージャーは記者に対して、ツールを導入した場合の効果をこう語る。「様々な開発言語を知っていて、バグのないソースコードを24時間、延々と高速で書き続ける。そんなスーパープログラマを雇ったのと同じ効果が得られる」。

同社が検証したのは「GeneXus(ジェネクサス)」という開発ツールである。ご存知の方はまだ多くないかもしれない。一口に言えば、アプリケーションの自動生成ツールである。データ項目や画面、業務ルールといった設計情報をGeneXusの表記法で入力すると、ソースコードとテーブル定義情報を自動生成する機能を備える。

属人性(その人でなければできない。作業を行う人によって成果が変わる)がない作業に関して、工学は機械化を試みてきた。複雑と考えられてきたソフトウェア開発も、これまでの長い蓄積からある程度は定型的に作れるものがはっきりしてきた。定型的に作れるならば、当然、機械化を考えるそれが工学の基本発想。計算機が行えるくらいバカな作業は計算機に行わせ、計算機が行えない複雑な作業を人間が担当するというのが、ソフトウェア開発。計算機科学者やソフトウェア開発者は、ある意味で自分たちがいらなくなる世界のために日々、研究や技術革新を行っているようなもの。

なので、こういうのが出てくるのは必然。ただし、年に1回はこういうツールの話を聞くので、これが本当に主流になるかどうかははてさて。