基本的考え方
小金が欲しい大学院生と本を売りたい書店を結びつけて、Win-Winの関係を作ろうという話。一言でいえば、本の実演販売。
何をしたいか?
書店において、歴史学の大学院生や研究者を複数人呼び、自分の専門分野や歴史のあるエピソードについて対談を行う。この対談の中であるいは対談の後に、その書店において複数冊の複数著者の本を興味の度合いごとにいくつかのレベルわけをして紹介し、その本の読みどころ、どう楽しむかをあわせて解説する。
なぜ、こんなことを考えたのか?
大学院生はお金がない。しかも、研究をしなければならないので、拘束時間によって給料が発生するアルバイトはあまり嬉しくない。できれば、専門的知識を活かして、拘束時間が短い(あるいはフレキシブルな)アルバイトをしたいと思っている。
そこで、大学院生が比較優位を持っているマイクロジョブ(短時間で額が小さい仕事)をいろいろ検討しているときに思いついたのがこれ。他にはベビーシッターとかを考えた(参考:ベビーシッターを大学院生が行うとしたら?
ここから
この話はどこにうまみがあるのか?
この話の登場人物は、大学院生・研究者、書店、読者の計3者。
読者にとって
いろいろな娯楽が増えてきたとは言え、読書は手軽な趣味である。また、アマゾンなどのインターネット販売が躍進しているのにも関わらず、休日の書店や図書館には多くの人がいる。つまり、書店は新たな知識を発見する場にもなっている。
ところが、出版される本の点数が多すぎ、かつ、再版がかからなさすぎるので、本は「生もの」になってしまっており、一度見逃すと二度と会えないことが多い(探すのに手間がかかる)。また、たくさんのジャンルの本がですぎて、どれが面白い本でお金を出しても損しないかがわからない。
もし、面白そうな本を紹介してもらえるならば無駄金払う必要がなくて嬉しい。
書店にとって
書店にとっては本の売り上げを上げることが至上命題。多くの人に対応できるようにたくさんの種類の本を置くという方向で、書店の大規模化が進み、一方で、売れる本だけ置くという方向で漫画と雑誌しか置かない店やある専門に特化した店ができるようになった。
よりアグレッシブに、書店員がある企画の下でおすすめの本を客に勧めるという方法で成功している店もあるけれども、すべての書店員が目利きがうまいわけでもなく、しかも、すべてのジャンルに精通しているというわけではない。
もし、そこそこの値段で興味をかきたてるような本の紹介を出来る人を呼び寄せることができて、アルバイト代よりも本の売り上げの方が大きいならば、書店にとって特に悪いことはない。有名人であれば、高いアルバイト費を払わなければならないが、大学院生ならば数千円程度で十分なのでまあまあ魅力的。
大学院生にとって
まずは、お金が儲けられるというのは悪くない。でも、これで生活したり、学費にあてたりするのはムリ。どちらかというと、自分の研究を一般市民に伝えるためのプレゼン練習の一環としての価値のほうが高い。
この提案の欠点
損益分岐点がどこにあるのかわからないので妥当なアルバイト料がわからない点。本による利幅はかなり小さいので、1イベントに二人の大学院生を呼んだとして2時間拘束で3千円ずつ、計6千円払ったとする。場所代、定員が準備に携わった労力、機材代などを無視するとしても、何冊の本が売れたら6千円ペイするのかがわからない(たぶん、数十冊単位じゃないだろうか)。
あと、本を一時的に増やして、イベント終了後に売れ残りを返すということができないと、書店にとってかなりリスクの高いイベントになってしまう。