やるべきことが見えてくる研究者の仕事術―プロフェッショナル根性論

去年の11月ぐらいに読んだのだけど感想を書いていなかったので。一言でいうと「嫉妬を覚える本」。著者の島岡さんはご自身を「すごい研究者」として認識されていない。その「すごくない研究者」がプロの研究者として生きていくにはどうすればよいのかというのをまとめられている。私も自分を「すごい研究者」と認識していない。同じように自分のことを「すごい研究者ではない」と認識しており、でも、プロの研究者として生きていこうとしているのにも関わらず、島岡さんと自分にはかなりの違いがある。一番の違いは本でも一章とって説明されている「変化に対する苦痛・恐怖を克服する」という点にあるかと思う。

この本を読んで一番嫉妬を覚える部分は、まさに「変化に対する苦痛・恐怖を克服する」を著者の島岡さんが実行されているという点(ブログを読めば一目瞭然。ハーバード大学医学部留学・独立日記)。

私という人間というのは自分が成し遂げられないと思うことについては嫉妬などしないで圧倒されるタイプなので、この本を読んで嫉妬を覚えるということは、私は「私もやればできる」と内心思っているということ。そういう意味ではまだ嫉妬を覚えるぐらいの気概が自分にあってよかった。

本書の内容は、「何をするか」→「何故、それをするか?」→「どうやって、それを行なうか?」という「What, Whay, How」がきっちりと順をおって説明されているHow toのお手本としたい構成。いろいろな人が褒めているとおり、職業研究者のみならず創造性が問われる職業の人にとっては参考となることが多く書いてある。

世の中にはHow to本やマニュアル本を嫌う人がいるけれども、凡人にはHow to本やマニュアル本が必要不可欠。ゼロから自分のやり方を構築して、新たなやり方へと至ることができるのは天才の特権。「型がなければ型破りな行動はとれない」という言葉もあるとおり、まずは型を学び、その型を自分なりに発展させる方が一般向き。そういう観点からすると、高校生や大学生、大学院生にこそ、この本を読んでもらい、自分の仕事術のひな型とするのをおすすめする。