リンク:なぜ待機児童問題は解決できないのか

以下の話は認可保育所についての指摘だけれども、大学や研究所にも関連する。常勤の給料は比較的高く、非常勤およびポスドク、大学院生は貧乏。資金投入を滞らせると「非常勤やポスドク、大学院生が死ぬぞ!」とおどして、常勤の給料はキープというのは、外の人から見ると不誠実に映る。別に私は自分の給料下げたいわけではないが、フェアじゃないのは長期的に見て不利益になることが多いので気になる。

特に待機児童が顕著な都市部の認可保育所は、黙っていても「お客(利用者)」が運ばれてくる状況であるから、競争に晒されず、非効率な「ぬるま湯経営」「高コスト体質」に陥っているところが多い。既に述べたように、保育料は税金によって補填されて非常に低い水準となっているために、お客(利用者)からの苦情や緊張感にも晒されない。このため、例えば、東京都23区の公立保育所における0歳児1人当たりにかかっている保育運営費は、平均で月50万円近い水準に達している。保育料負担が約2万円とすると、1人に対して実に48万円もの税金が投入されている計算になる。もちろん、東京都23区は極端な例であるし、0歳児も最も運営費の高い年齢層であるが、高コスト体質は都市部の公立保育所に共通する構造である。この背景にあるのは、人件費の高さである。

都市部の公立保育所の保育士は、地方公務員の俸給表に原則従っているため、国の補助金である「保育単価」の人件費をはるかに上回っており、地方自治体の一般会計繰り入れ(税金投入)で、運営費を賄わざるを得ない高い水準となっている。再び、極端な東京都23区の例を挙げると、大半を占める正規(常勤)保育士の平均年収(賞与、手当を含む)は、平均で800万円程度であり、園長に至っては、数年前までは年収1200万円近くに達するものもいた。まさに、異常な賃金水準の高さである。

こうした異常な賃金水準になる理由は、単に地方公務員の俸給表が高いことにあるだけではない。