リスク見積りの難しさ:トカラ列島皆既日食ツアーを例にして

今世紀最長の皆既日食が22日に見られるのを前に、陸上では最良の観測ポイントとなる鹿児島県トカラ列島十島村)に、招かれざる上陸者が続出している。620人が7つの島に分かれて暮らす村では、皆既日食の前後1週間はツアー客以外の入島自粛を促しているが、34万2千円からと高額なツアーに参加しない“自粛破り”の上陸者が20人以上現れ、関係者を悩ませている。

この記事に対して賛否両論だったが、結構多かった意見が以下のもの

>34万2千円からと高額なツアー
>ツアー代金には水道設備の増設や医師・看護師の増員などインフラ整備費が含まれており

果たしてこれは妥当な金額なのか

まあ、起こらないかもしれないトラブルのためにお金を費やすことを考えるとそう思う人がいて当然。

そして、当日。

6分25秒と世界で最も皆既日食の継続時間が最も長い、トカラ列島の悪石島には、人口の2倍近い1100人の観測客が訪れていたが、皆既日食が始まる午前10時
ごろから、突然、激しい雨と風に見舞われた。
観測用に用意した機材を手に、雨の当たらないテントの中などに駆け込む人など右往左往するなど、観測どころではなくなった。
強い風雨は、テントを波打たせるほどになり、竜巻が起こる可能性もあるとして屋内への避難も呼びかけられた。

こういう事態が発生するからこそ入島自粛を促していたし、インフラ整備のために34万2千円からと高額なツアーになっちゃったわけなので、島とツアー会社のリスク見積りが正しかったということを示していると思う。勝手に島に上陸していた人たちはどういうようにこの暴風雨を避けたのだろうか?リスク見積りは本当に難しいし、その見積りを他人に納得させるのはさらに難しい。

長い人で島に4泊するツアー客の残りの人たちは、23日中に島を離れる。昨年末から受け入れ準備の陣頭指揮を執ってきた島の自治会長、有川和則さん(57)はフェリーを見送る島の人たちを見ながら、港で感慨深そうに話した。「会うときのうれしさ、別れるときの悲しさを歌った島唄(しまうた)のことを、久しぶりに思い出したね

暴風雨にさらされたのに人身事故などが起こらなくて本当によかったと思う。島の皆様とツアー実施担当者はお疲れさまでした。