話し方が論理的だからと言って、話していることが正しいわけではない

「あの人の話は論理的だ。だから、あの人の話していることは正しい。」というのはうまくない考え方なのでぜひご注意を。

広辞苑第5版曰く

ろんり‐てき【論理的】
(logical) 
(1)論理学で取り扱う対象についていう語。
(2)論理の法則にかなっていること。りづめ。
(3)比喩的に事物の法則的なつながりについていう語。

「あの人の話は論理的だ」と言う場合は、おもに(2)か(3)の意味で使っていることと思う。(2)や(3)の意味における論理的な話し方の特徴はステップバイステップで話題がつながっている点にある。主な構成は以下のようになっている。

  • 話の前提・仮定
  • 話の展開1
  • 話の展開2
  • 〜中略〜
  • 話の展開n
  • 結論

論理的な話し方とそうでない話し方のもっとも大きな違いは、「話の展開i」から「話の展開(i+1)」に話題が進むときに、なぜ「話の展開i」から「話の展開(i+1)」が展開されるのかについて聞き手側が容易に理解できるか否かの点にある。論理的な話し方の場合、聞き手は「話の展開i」から「話の展開(i+1)」へ話が進む理由が理解できているので、そこに不明な点や不可解な点があればすぐに指摘できる。その結果、聞き手は話し手が話している内容の真偽を容易に判断できる。

論理的な話し方は、話の前提と仮定が正しく、かつ結論へ至る話の展開のすべてが正しいときに結論が正しいことを保証するけれども、論理的な話し方であるから結論が正しいということは保証しない。

  1. 話の前提か仮定が正しくないとき
  2. 話の展開が正しくないとき

以上のどちらかを満たしている時はもちろん結論は正しくない。

論理的な話し方が保証している範囲をよく理解した上で、相手の言っていることを判断する必要がある。