リンク:読売新聞:サービス?過保護?親に成績通知、国立大で増加

学生の成績を保護者に通知する国立大学が増えている。

私立大では以前から通知が一般的だったが、少子化で国立大でも学生の確保が課題になる中、「父母らと連携して留年や中退を防ぎたい」という狙いがある。もう一つの背景は「わが子の成績を知りたい」と望む親が増えていること。大学側は「サービス向上」という感覚で、学生側の抵抗感も意外に少ないようだ。

岡山大は今年3〜4月、2年生以上の保護者に成績表を郵送した。履修科目と評価を記載し、進級・卒業要件の説明書も同封した。今後は年度末ごとに成績を伝え、1年生は前期分だけの成績も9月に送る。従来は農学部、工学部だけだったのを全学部に広げた。

学内の検討では「小学生じゃあるまいし」という意見も出たが、佐藤豊信副学長は「学習状況を伝えれば、留年などの手遅れにならない可能性が高い。通知は時代の流れ」と話す。

親の要望もある。2007年度入学生の保護者アンケートで、84%が知りたい情報に「成績」を挙げた。きょうだいが私立大に通う親から「通知はないのか」と問い合わせもあるという。

キャンパスで学生に聞くと、工学部3年の男子は「高校でも通知表があったので構わない」、医学部1年の女子は「親が見ると思えば頑張る」と話した。

大阪大工学部は、現在の2年生以下を対象に、前年度分の成績を毎年6月に保護者に知らせることを決めた。馬場章夫学部長は「精神的にもろい学生が増えた。保護者に伝えることで、学生に『ちゃんとフォローしているよ』というメッセージを送りたい」と話す。

神戸大では05年以降、学部ごとに通知を導入し、今年は4学部になった。学務課は「保護者の要望が増えており、他の学部にも検討を頼んでいる」と言う。

すでに全学部で通知している大学も少なくない。島根大は01年、高知大は04年、広島大は05年、和歌山大も06年から全学で実施した。保護者からは「私の子の成績は、どれぐらいの位置なんでしょうか」という質問も寄せられるという。

一方、京都大は「保護者の要望は若干はあるが、学内で成績送付は議論になっていない。『自由の学風』という伝統も影響している」(広報課)という。

◆子離れ・親離れできていない◆

教育評論家の尾木直樹・法政大教授の話「保護者サービスの充実は大学の危機感の表れだが、入学式に大勢の親が来るのと同様に、子離れできない親、親離れできない大学生が増えたことの象徴でもある。自立を促す観点に乏しい高校までの教育も問われるべきだ」
(2009年5月31日07時15分 読売新聞)

うーん、コメントしづらい。大学の高校化が進んでいますからね。