論文ノートのことは良く分かりません!

論文の読み方の以下の部分

第一章と最終章を読んだ段階で、概要で得た疑問が解決されているのであれば、本文を読む必要はありません。分かったことを論文ノートにまとめて次の論文へ進みましょう。もし、まだ疑問が解決されていないならば、索引や目次、図と表を最大限利用して限定的に読みましょう。全部読むことが必要なとき以外は、論文の端から端まで読む必要はありません。図だけをパラパラ見る、表だけをパラパラ見るというのも良くある読み方です(趣味の雑誌をざっと読むときとかもそうするでしょ?)。

と書いたところ、id:Hashさんから以下の質問をいただきました。

エントリに関連して一つ伺いたいのですが、next49さん流の
「論文ノート」
の書き方を解説して頂けないでしょうか?
ざっとnext49さんのブログを検索してみましたが、
このテーマについて書かれた部分は見あたりませんでした。

ええっと、正直に白状します。私は論文ノートを作っていません。「作った方が良いよなぁ」と思いつつも「手書き面倒くさいし、どうせ電子化しなきゃ論文に使えないので二度手間イヤだし」という理由です。なので、むしろ私が論文ノートの作り方をどなたかにご教示していただきたいという状態です。

今現在の自分はどうやっているのかをid:Hashさんのご質問をきっかけとして振り返ってみますと、まず、Google scholar、Web of Science、ACM PortalIEEE eXplorer、DBLP、Springer LINKなどで文献を探します。差し出した文献のタイトルと概要を読んでみて、ダウンロードするかどうかを決めます。ダウンロードすることに決めたら私の論文メタデータ管理法に書いたとおり、論文のメタ情報をCiteULikeで管理します。

次に、論文を読み始めるのですが、基本的に紙に印刷して読みます。その際には、以下のような事柄は論文自体に書き込んでしまいます(あるいは該当する文章をラインマーカーでマークします)。理由は、別にしておくと照らし合わせるのが面倒だからです。メモも印刷した論文自体に書き込んでしまいます。購入した本についても、よほど高額のもの(数万円)のものでなければ、ラインマーカーとポストイットを使って同様に書き込んでしまいます。高額の本や借りた本に関しては、必要となりそうな部分をコピーするかテキストとして打ち出します。

  • 何がその論文で解決しようとした問題なの?
  • その問題に対して、著者らが提案した解決策・緩和策は何?
  • その論文の目的(Goal、最終到達地点)は何?
  • その論文では目的までどのくらい近づいたの?

論文の読み方

印刷した論文は、クリアポケットにいれ、2穴バインダーで閉じて置きます。特にアルファベット順などに並べず「収集論文 X」見たいにバインダー自体に名前をつけて置きます。どうせ、論文探したくなったらその中から探せば良いので整理していません。将来ちゃんとした書棚を持てるようになったらアルファベット順に管理したいですが。

あとは、そのときそのときの必要性に応じて、それぞれが考えるそれぞれの「精神的背骨」学生が自分の主張を述べにくくなる心理についてのように、集めてきた論文から必要と思う箇所を抜きだし、自分しか閲覧できないWikiにまとめます。Wikiの各ページの作り方は、ある概念の定義をしたい場合は他の人がどのようにその概念を定義しているかを列挙したページを作ったり、何かよく理解できていないことを明らかにしたいときには、質問を先に列挙して、それへの回答となりそうな部分を抜き出したりとそのときどきによって違います。

研究に関するメモは、はてなダイアリー、研究室SNS、自分用Wiki、メール、計算機のメモフォルダーのどこかにあるので必要に応じてこれらのどこかを探します。こうやって、自分のやっていることを振り返って見ると、とっても良くないですね。うすうす、自分のやり方だと知の蓄積がないので次につながらないような気がしていましたが。どうしましょ?

このまま終わっても、Hashさんのお役にまったく立てないので私が論文ノートが必要だと思う理由を列挙して終わります。

  • 文献調査の目的を忘れさせない
    • 文献を読んでいるとおもしろかったり、興味が移ったり、あるいは英語の難しさや内容の難しさにひっぱられて、自分が何を目的として読んでいたのかを忘れる時があります。論文ノートにあらかじめ、その文献において知りたいことが列挙されていれば、常に文献を読む目的を意識でき、横道にそれることを防ぐことができます。
  • 読んだ内容を書き付けることにより理解を深めさせる
    • 文献を読んだ直後は、いろいろなことを理解したつもりになるのですが、それを一度自分の言葉に書き直したり、必要な文章のみを抜き出したりすることによって、一度、自分の頭の外に書き出してみないと本当に理解しているかどうかを自分自身で把握できないと私は考えています。論文ノートがあれば、読んだ内容を自分でまとめなればいけないので理解が深まります。
  • 再読時の効率を上げる
    • 前回読んだときのポイントがまとまっていれば、再読時のコストを低下させることができます。また、再読時に新たな理解を得たとき、あるいは、前回読んだときと正反対の理解を得た場合には、前回のときの理解した内容と比較できます。
  • 自信の源となる
    • 文献をたくさん読んだからといって、研究できるわけではありせんが、たくさんの文献を読んだという事実はある程度の安心や自信を与えてくれます。私のように論文ノートを作っていないと、自分がどれくらいの文献を読んだのかさっぱりわかりません。

以上です。

ワインのテイスティングノートみたいに、書くべき項目が列挙されているA4一枚の紙とか作るとよいんでしょうかね?