この本では、何かを教える人を「先生」、何かを教わる人を「生徒」としている。なので、職業教師のためだけの本ではない。この本の定義する「先生」ならば、この本を必ず読んで、この本に書かれてあることを心がけたほうが良い。一方で、「生徒」ならば、この本に書いてあることを「先生」に求めてはいけない。「生徒」は先生はえらいを読んでそちらの心構えを使ったほうが良い。
この本では5つの心構えと8つの技術が具体的な例を示しつつ紹介されている。
- 心構え
- 先生を気楽に引き受けよ
- 生徒を「お客様」だと思え
- 生徒の「文化」を尊重せよ
- 生徒を「可能性のタネ」と見よ
- 生徒を楽しませよ
- 技術
- 生徒のレベルにあわせよ
- 「目標」を明示せよ
- 「魔の挫折地帯」を認識させよ
- 目標を分解せよ
- 「腹八分目」を守れ
- 褒めて伸ばせ
- 「反復」と「映像化」で脳に刻み込め
- 「与える」よりも「引き出せ」
上記の心構えと技術を見て分かるとおり、この本では生徒が積極的に学ぼうと思っていないという前提でかかれている。先生は常に積極的に学びたくない生徒にも何かをプレゼントできるようにあり得る限りの技と情熱を持って臨むべきだけど、生徒側からこれを求められたらきつい。
あくまでも先生の努力目標としてとらえて、生徒は積極的な姿勢で学ぼうと心がけるべき。双方が歩み寄ったときが最高の学びの場になるのは確実なので。
私が受け入れがたく思ったのは「生徒を『お客様』だと思え」と「生徒の『文化』を尊重せよ」の二つの心構え。私は比較的良い生徒であったので、その目からすると「生徒を『お客様』だと思え」と「生徒の『文化』を尊重せよ」は生徒側があわせるべきことだと思えるため。でも、職業教育者としては視点を変えないといけないのだろうと思う。
私が気をつけないといけないなと思った技術は「『腹八分目』を守れ」、どうしても自分の知っていることを全部伝えたくなっちゃうんだよね。難しいなと思ったのは「『与える』よりも『引き出せ』」、学部は4年、修士は2年、博士は3年という事実上の制限があるので、「『与える』よりも『引き出せ』」のやり方だと時間が足りないのではないかという気がして怖い。