金融パニックのときこそ金融リテラシーが必要

大学の資産運用について記事がでているけど、資産運用のやり方と、一時的な損については分けて考えないと。資産運用なんて不可能では?

11月19日(ブルームバーグ):
世界的な金融危機の余波が、日本の大学の資産運用にも暗い影を落としている。慶応義塾大学の運用資産の評価損が 225億円に上ったほか、駒沢大学デリバティブ取引で運用損失154億円を計上した。
慶応大学の北村和夫運用担当課長は、ブルームバーグ・ニュースの取材に対して、「運用資産1000億円を超えて、現時点での評価損は約225億円で 2008年3月末決算から変わっていない」と述べている。ただ、ブルームバーグ・データによると、世界の株式の時価総額は08年3月末と比較して4割近く目減りしている。今年前半の評価を維持するのは難しい状況だ。
 駒沢大学によると、「フランス系とドイツ系の外資系金融機関2社に運用を任せていた。不動産を担保にみずほ銀行から約110億円の融資を受け、運用を解消したのでこれ以上損失が増えることはない。学生、同窓生、父母の方々に不安を与えて申し訳ないと思っている」(小林清次郎総務部長)という。同大学では、調査委員会を設置するが、詳細は明らかにしてない。
慶大では、「資産運用のアロケーション(資産配分)は大学自体で行っており、ヘッジファンド、REIT(不動産投資信託)、商品などに投資している。デリバティブもヘッジ的なものでいろいろな通貨スワップに投資しているが、どの通貨かは言えない」(北村氏)と説明。また、「損切りしないと評価損は改善しないが、損切りせずまだ保有している」という。

早稲田も評価損、公益法人全般に影響

この他の有名大学でも評価損を抱えているところが多い。早稲田大学の 2008年3月末決算書では、「運用資産は約1000億円で、政府保証が付いている格付けの高い外債を中心に運用している。3月末時点で評価損が約5億円あったが、その後9月末にかけて膨らんでいる」(大出達夫資金運用担当課長)もよう。
市場では、「事業法人だけでなく、学校法人、宗教法人、医療法人など公益法人も運用を行っているところは影響を受けている。学校法人は、運用基準は緩いが、運用委員会を作って運用しており、ガバナンス(経営)の問題になりつつある」(大和証券SMBCチーフストラテジストの末沢豪謙氏)などの声も聞かれた。

以下のサイトは勉強になった。だけど、これができるのって一流大学だけだよね。

ところが、欧米の非営利組織の資産運用について調査した眼で見ると、日本の公益法人等の定める「資産運用規程」などの文書の内容は、極めて奇妙な、あるいは偏っている、もしくは不適切なものであると言わざるを得ないのが実情です。
公表されている「資産運用規程」の多くに共通している基本的な思想は、「元本に対するこだわり」と「元本割れリスクの回避」です。それ自体は間違っているわけではありません。運用の目的が短期で終了する活動に限られるとすれば、元本確保に固執することは重要だからです。ところが、今後10年、20年、50年あるいは100年という単位で事業活動を永続させることを目標としている場合は、運用元本の確保を過度に強調し、さらにこれにこだわるあまり運用対象まで文書で限定することには、大きな問題があると言えます。
何故なら、預金、日本国国債金銭信託、円建債券、公社債投資信託等の金融商品は、「元本割れのリスク」には比較的強いとされているものの、「インフレ・リスク」には弱く、これらのみで長期的な経済の変動に耐えられるとは到底思えないからです。