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一匹狼のための一人Q&A大会

発声練習 研究

どうやったら卒研を失敗できるか:他人の話を聞くのをやめるとか、卒業研究・修士研究時の悪循環を防ごうとか、怖い先生に質問をしにいくコツなどで、「遠慮なく質問しよう」、「先生をうまく使おう」とアピールしてきたわけなのですが、効率が良くて、安全な方法だけが良い方法では決してありません。

人には向き、不向きというものがあるので、どうしても一匹狼の方が気が楽な人も絶対にいます。どちらが良いとかどちらが悪いとかの問題ではないので、一匹狼気質の方は諦めましょう。

それで、あなたが一匹狼気質の場合、どうやって、多様な視点を確保するのかというのが一番の課題だと思います。

そこで、おすすめなのが一人Q&A大会です。典型的な質問フォーマットを自分で用意し、自分自身に徹底的に質問してみるのです。みなさんがどうだかわかりませんが、私はものを考えるときイメージではなく、言葉でものを考えます。質問とそれへの回答という形で自分の思考の中へ潜っていく感じです。

私の大好きな小説「上弦の月を喰べる獅子()で述べられているように、「何故、正しい答えにたどり着けないのか?」といえば、「正しい問いが発せられていないから」なのです。そして、正しい問いというものはそう簡単にはできません。基本的には下手な鉄砲も数打ちゃあたる方式でやるしかありません。

自問自答をするときのコツは、出来る限り素朴な問いを発し、それに対して出来る限り簡単に短く答えるということです。このようにQ&Aを行う場合には、質問者として「なんで?なんで?それは何?」という素朴な質問を繰り返してくれる子どもを想定するのがベストだと思います。私が自問自答に使う質問のフォーマットは以下のとおりです。

  • 言葉の定義や概念の整理をしたい場合
    • 「〜の定義は何?」
    • 「何が〜ではないの?」
    • 「〜の代表例は何?3つ挙げてみて。」
    • 「〜ではないものを3つ挙げてみて。」
  • 行為に関して洞察したいとき(特に評価やテストなど)
    • 「〜というのはいったい何をどうすることなの?」
    • 「その行為を行う理由は何?」
    • 「その行為以外に目的を達成できることはないの?」
    • 「何がどうなったら、〜ができたといえるの?」
  • 研究の基礎を固める場合
    • 「何が問題?」
    • 「その問題はどうして解決しないといけないの?」
    • 「その問題について現状はどうなっているの?」
    • 「その問題が発生する根本原因は何?」
    • 「あなたの解決方法は、どうして有効なの?」
    • 「他に解決方法はないの?」
    • 「他の解決方法に比べたあなたの解決方法は何が良いの?」
    • 「その解決方法を詳しく説明すると、何を何のためにどうすることなの?」
    • 「研究の目的は何?」
    • 「何がどうなったら、その目的を達成できたと言えるの?(目標は何?)
    • 「いつまでにどこまで行うの?」
    • 「目的を達成するためにやらなければいけない仕事は何?」
    • 「もう一段仕事を分割するとどうなる?」
    • 「もう一回だけ仕事を分割するとどうなる?」
    • (仕事が「〜のためのアルゴリズムを構築する」だった場合)「『〜のためのアルゴリズムを構築する』ためにはまず何をやれば良いの?」
    • (何がわからないのかわからないとき)「どこまでがわかる?」
  • 自分が伝えたいこと表現したいことをはっきりさせたいとき
    • 「あなたが言いたいことを一言でいうと何?」
    • 「どうして一言ではいえないの?」
    • 「その言いたいことを理解してもらうには何の情報が必要?」
    • 「その言いたいことの重要性を理解してもらうためには何の情報が必要?」
    • 「あなたの言いたいことを図で表すとどうやって表現できる?」
    • 「***さん(先生)だったら、あなたの言いたいことをどう表現すると思う?」
  • 主観的な事柄に関して:「正しい」を例として
    • 「『〜が正しい』というのは何がどうなったときのこと?『正しくない』ときというのは何がどうなったときのこと?」
    • 「『〜が正しいかどうかを調べる』というのは具体的にどうやって行うの?」
    • 「『〜が正しい』というのは誰の基準に基づいて?他に基準はないの?」
    • 「『正しく行う』というのは、何をどうすること?正しくなく行う方法はあるの?」

何かをはっきりさせたかったら「なんで?」「どうしてそうなるの?」「何がすごいの?」を組み合わせて自分が滑らかに答えられない点まで進むのがもっとも良いと思います。

繰り返しますが、自問自答の際の質問と回答はどちらも簡潔に素朴に短くなければいけません。また、出来る限り正確かつ丁寧に回答をするべきです。そして、慣れるまでは、上記の自問自答の結果を必ず紙かテキストファイルに書き出すべきです。頭の中で保存してはいけません。

一人Q&A大会で、30分考えても答えられない質問については、一旦、それ以上考えるのをやめます。答えられない理由は「そもそも答えがない」か、「自分の頭の中に回答の元となる知識が存在しない」か「質問が適切でない」かのどれかです。「そもそも答えがない」ならば、ラッキー!うまい研究のネタを見つけました。「自分の頭の中に回答の元となる知識が存在しない」のであれば、いくら考えても無駄です。すぐにインプットを増やすべきです。「質問が適切でない」場合には質問自体を変えます。

実際には、答えられない理由が3つのうちのどれなのかは判別つかないので、しばらく日を置き(少なくとも睡眠を一度挟む)、もう一度質問に挑戦してみます。