基本原則:少ないものの価値は上がり、多いものの価値が下がる

著者の方の主著が奈辺にあるかわからないけれどもおもしろい記事。

同社(P&G)は生理用品の「ウィスパー」に四葉のクローバーのデザインをあしらい、それがヒット商品になりました。今では、他社でも絵柄をプリントした生理用品を発売しています。
そして実は、このアイディアを提案したのは男性です。
生理用品を決して使うことのない男性が、です。なぜ男性がこのようなアイディアを思いついたのかを紹介したいと思います。

日本企業は2004年ごろから、女性の活用に力を入れてきました。企業は女性活用のメリットを全社員に理解させるために、女性の特性が生かしやすい仕事を定義しようとします。その中でよく出てきた部署が「商品開発」でした。
たとえば、日産自動車。世界のダイバーシティを推進する米NPOのカタリストから「ダイバーシティが最も進んでいる企業」として選ばれた実績がある企業です。
2004年当時、ダイバーシティの重要性をカルロス・ゴーン社長(当時)はこのように説明しました。
「グローバルでビジネスを行っている日産自動車は、国籍、宗教問わず様々な個性を生かした経営を行うことが、企業の成長戦略として欠かせない。その手始めとして日本では女性活用から取りかかろう」と。
日産自動車が2002年に新車を購入する顧客を調査したところ、3割が女性で、残りの3割も女性の意見を聞いて購入するという男性だったと言います。つまり購入者の6割が女性の意思決定が影響している。しかも女性の意見を聞く男性の割合は増加傾向にあったそうです。この結果を見たゴーン社長は、日産の社員は男性ばかりであることに疑問を投げかけたのでした。
そして、育児休暇を拡充するなどの制度を整え、女性を含めた商品企画チームを作り、女性の消費者が好むものづくりに取り組んだ。ベビーカーを畳まずに積めたり、力を入れずに移動できるサイドシートをつけたりと工夫を凝らしたミニバン「セレナ」です。

著者の方は、「『女性=商品企画に向いている』は正しくないんじゃない?」という問題意識だと思うが、そのとおりだと思う。一般常識である「少ないものには価値があり、多くなれば価値が下がる」そのもの。P&Gの事例は女性ばかりの商品企画部門に希少な男性が入ったために新たな視点が得られたと言う話。日産の話も従来は男ばかりであった商品企画に女性を入れたらうまくいったという例。

なので、女性として生きてきたことそのものを武器にするならば、従来、男性ばかりだった環境に身を投じるのがうまい戦略になると思う。IT業界も基本的に男性ばかりなので、女性が「女性として生きてきたこと」そのものを武器として戦える環境にあると思う。一方で、男性が「男性として生きてきたこと」そのものを武器として使うには女性ばかりの環境にいくのが一番。看護師や保育士の分野などは大変だろうけど男性視点を生かしてお金にするチャンスはたくさん転がっていると思う。

イデアの基本はある分野の物事を別の分野に持っていくこと。男性にとって当たり前な発想が女性にとってはびっくり仰天の発想であることもたくさんあるに違いない(当然、その逆も)。他にも同じように応用は可能で、数学者にとって当たり前のことがソフトウェア開発者にとって驚きのことだったり、生物学者にとって当たり前のことが計算機科学者にとって非常識な発想だったりする。これが他分野の人と交流を深め、雑談し、情報収集をするのが重要であるといろいろな人が言う由縁。