あるべきものがないことを探す

ちょっと考えた。つまり、「あーこの街ではこれが売れているんだな」というのは発見しやすいが、「この街にはこれがないじゃないか!」というのは、日ごろから注意深くいろんな業態を見ていないと気づきにくい。おそらく、薬小売業界の人なら、お店の中をざっと見て「そういえばこれはあるけどあれはないな。」と気付きやすい。なんでかというと、頭の中にもうしっかりとした「標準的薬局の商品ライン」のイメージがあって、無意識にもモデルと比較できるから。でも、それだと、やはり「この業態ならこういう商品ラインが普通のはずなのに」という標準的規範との照合でしかないことになる。

「この街のこのお店には在って然るべきこの商品がない」ではなくって、「この街にはこういうお店がない」ということに気づくということ、さらに「この街にこういうお店があれば繁盛するだろうになあ」と構想できるということ、それはだんだんと「在って然るべきイメージ」が一般的でなくなることを意味する。つまり、「そうでなくてはならない必然性などない」のにそれを構想することで、現実をそちらに転がしていく行為に変わるということである。つまり問題発見ではなく、問題発明。

なるほど。二段階のレベルがあるのか。まとめるとこういうことかな。

  • 基準が既に自分の頭の中にあり、その基準に基づき、観察対象を評価する
  • 観察している対象がより良くなるための条件、基準を新たに設ける

微妙だ。たぶん、解釈が間違っている。

「『在って然るべきイメージ』が一般的でなくなることを意味する」という記述からすると、こっちのイメージかな。

「この街のこのお店には在って然るべきこの商品がない」というのは、既にある枠組みがあり、その枠組みにおいて満たしているべき条件を満たしていないということを見つけること。すなわち、問題自体は観察している事象に既に含まれているので「問題発見」(上記の図αの空白部分を探すこと)。「『そうでなくてはならない必然性などない』のにそれを構想すること」というのは、既にある枠組みをイマジネーションにより自由に変え、その上でその新しい枠組みにおいて、問題発見を行うこと。あるいは、枠組み自体を変更すること。それが「問題発明」(上記の図βの空白部分を探すこと、あるいは作り出すこと)。

どちらも重要な発想だ。私の理解が正しいと仮定した上で、この能力が身につく順番は、まずは「問題発見」ができる能力。その後に「問題発明」をできる能力。これを勉強の話と絡めるならば

  • レベル1:解答能力(問題が提示された上でそれを解く能力)
  • レベル2:問題発見能力(その観察事象が収まるべき枠組みを調べ、その枠組みを満たすための問題を発見する能力)
  • レベル3:問題発明能力(新たな適切な枠組み自体を構築する能力)