memo某所よりコピペだと、善光寺が聖火リレーのスタート地点となるのを辞退したというニュースが世界の報道機関で報じられていることをお知らせしているのだけれども、2chだとちょっとアレなニュース:善光寺 聖火リレー辞退、世界の反応であるように引用元が明らかでない日本賛美の報道がされていることになっている。
「善光寺が発した静かな怒りは、世界の全仏教徒のみならず宗派を超えた 宗教指導者が身を切るほどの警告となった」@CNN(アメリカ)
「ZENKOUJIは一滴の血も流さず、一個の石(投石?)も用いずに最大級の デモンストレーションを成し遂げた」@NBC(アメリカ)
「日本の対中外交の勝利をもたらしたのは、政治家ではなく若き僧侶だった」@F2
「2000年の時を越えて、遠い東の国にBuddismの精神が変わらず受け継がれている ことをZenkojiはこれ以上にない方法で示した。我々は、我々と同じ価値観を 共有する日本国民と日本の仏教界に強い尊敬と親しみの念を覚える。」@IDN(インド)「物静かで政治的な主張をしないことで知られる日本が動いた。拡声器もプラカードも 用いないその静かな抗議の声はしかし、どんな喧騒よりも深く強く世界の人々の心に 届くに違いない。」@BBC(イギリス)
「聖火リレーのボイコットを表明したその日も、Zenkojiは静かだった。その日、 Zenkojiの境内で取材を続ける私は、全身にしみこむ鐘楼の深く低い音に思わず 立ち尽くした。憎しみや悲しみを洗い流すこの聖なる音色が1300年にわたり 受け継がれていることは世界の奇跡である。」@AE通信(オーストラリア)
memo某所よりコピペにあるニュースのリンクをソース元とすると、上の主張はほぼ捏造だと思う。
CNNの以下の記事は、善光寺がセキュリティ上の問題からスタート地点を辞退したこと、日本コカコーラなど数社が日本での聖火リレーでのロゴの表示をやめること、あとは、インドや東南アジアの国々での聖火リレーの状況を説明しているだけ。「善光寺が発した静かな怒りは、世界の全仏教徒のみならず宗派を超えた 宗教指導者が身を切るほどの警告となった」なんて書いていない。
NBCの以下の記事は、写真のキャプションに"Japan's Zenkoji Temple pulls out of the Olympics torch relay over China's crackdown on anti-government demonstrations in Tibet."とあるけど、「ZENKOUJIは一滴の血も流さず、一個の石(投石?)も用いずに最大級の デモンストレーションを成し遂げた」という意味にはとれないと思う。本文中に搭乗するdemonstrationがある文も上の意味に読むのは無理がある。
BBCの記事には、私が読む限りでは「物静かで政治的な主張をしないことで知られる日本が動いた。拡声器もプラカードも 用いないその静かな抗議の声はしかし、どんな喧騒よりも深く強く世界の人々の心に届くに違いない。」って書いていない。
私も、玄倉川の岸辺:「善光寺が発した静かな怒り」 …?で述べられている意見に賛成。
やはり、だれかの意見や主張であるのに引用元を提示するという手間をかけていない文章を信用するのはダメだ。特に論文や本ではなくWebページという長さに制限が事実上ないメディアなのだから、翻訳の場合は、翻訳もとの原文も一緒に提示していないと説得力を与えられないと思う。
話し変わって、CNNの記事には感心した。記事に要約がついておりざっと概略をみることができる。こういうようにしてもらえると英語が苦手でも、文脈がわかるのでわからない単語があってもだいたいの意味が理解しやすくてありがたい。
- Story Highlights
- Torch relay was set to begin at Zenkoji Temple in Nagano on April 26
- Logos of Coca-Cola, Samsung, Lenovo will not appear on official vehicles in Nagano
- Relay officials: Alternate path mapped in Bangkok for the 80 torchbearers
- Tibetan exiles living in Thailand face deportation if arrested for disrupting relay
ついでに言うと、朝鮮日報などの韓国の新聞社にも感心している。わざわざ日本語版を用意してくれていて、隣国への情報公開の意思の高さが伺える。朝日新聞も中国や韓国と仲良くしなければだめだという主張をするのならば、英語版だけでなく、中国語版と韓国語版の翻訳記事を提供してあげれば良いのに。そしたら、Webを通じて、相互理解が進むと思う。