NLMdtdに準拠したXMLファイル

〜前略〜

査読が終了し公開が決定した論文のワードファイルは、まず、書式がその論文誌のフォーマットに合っているかどうか、あるいは参考文献の巻数やページ数などが正しいかどうかなどのチェックしなければならない。特に電子化されてからは、引用文献へのリンクが必要になるため、こうした情報の正確さは非常に重要だ。

これまで、こうした校正、チェック作業は、事務局の手作業で紙原稿に赤を入れる形で一つ一つ行われてきたが、今回ワードにプラグインしたInera社のeXtylesというソフトに様々なルールを教え込むことで半自動化できるようになった。

〜中略〜

こうした一連の作業でできあがるのが、米国国立医学図書館が策定し、学術論文出版の世界でデファクトスタンダードとなっているNLMdtdに準拠したXMLファイルだ。こうしたファイルを作成することで、検索用データを他の2次情報データベースなどに提供することが容易になることや、将来論文データ構造のスタンダードが変わったとしても、その変換手法が簡便に入手しやすくなることが期待できる。また、簡単にPDFやhtmlに変換できるため、例えば最終的に確定する前段階で、早期公開する生物系の学会などでは、このシステムを使えば超早期公開も可能になる。

〜後略〜

Googleで見つけたTeX Q&Aでのやりとり

名前: 藤田

藤田@湘南情報数理化学研究所です.

Bull. Chem. Soc. Jpn. (日本化学会英文誌)に投稿した論文:

Shinsaku Fujita,
"Numbers of Achiral and Chiral Monosubstituted Alkanes
Having a Given Carbon Content and Given Numbers of
Asymmetric and Pseudoasymmetric Centers",
Bull. Chem. Soc. Jpn., 81, 193-219 (2008)

が,BCSJ Award Article, Vol. 8 Febに選ばれました.


概要:http://www.csj.jp/journals/bcsj/bam/bcsj_headline.html

この論文には,10個の図がありますが,これらに含まれる
化学構造式は,すべてXyMTeXで作成しました.
「化学構造式をXyMTeXで描く(PDF)」(京都大学学術情報センター
全国共同利用版広報に掲載した記事)に従って作成したEPSファイルを
LaTeX文書に取り込んだものです.この記事の本文は
ホームページにおいてありますのでご覧ください.

上記のBCSJ Award Articleについては,Full Textもインターネットから
無償でダウンロードできますので興味があればご覧ください.
ホームページhttp://xymtex.com/にリンクを張っておきましたので,
そこから辿ってください.

BCSJ論文賞とXyMTeXより)

名前: 奥村晴彦

藤田先生,論文受賞おめでとうございます。

BCSJはLaTeXソースを3B2で読み込んで組んでいるようですね。
Re BCSJ論文賞とXyMTeXより)

名前: 藤田

藤田@湘南情報数理化学研究所です。

お久しぶりです。

日本化学会のBull. Chem. Soc. Jpn.の印刷は
小宮山印刷工業でおこなっているようなので、
多分おっしゃっているように3B2を使っているのではないかとおもいます。

15年ほど前、BCSJの印刷は、SGML -> LaTeXによっていて、その投稿
システムの検討に少しだけ関与したことがあります(そのときの経験が、
拙著「化学者生化学者のためのLaTeX」の第21章です)。その後、京都に
移って、日本化学会の本拠の関東から離れてしまったので、
BCSJが現状のようになった経過は知らないのですが、SGML-> LaTeXの流れで、
3B2による組版を選んだのではないかと推測しています。

Re BCSJ論文賞とXyMTeXより)

名前: 奥村晴彦

たまたま生協の食堂にあった「科学新聞」3月21日号に,
日本化学会が来年1月号の英文誌からInera社のeXtylesという
Wordのプラグインを使ってNLMdtdのXMLにして,
入稿から初稿までを10日→3日に短縮すると書いてありました。
Re BCSJ論文賞とXyMTeXより)

名前: 藤田

藤田@湘南情報数理化学研究所です。

情報をどうもありがとうございます。

日本化学会の林和弘氏が
「日本のメタデータ出版の現状」
と題して講演をおこなっていてそのなかに、日本化学会の英文誌出版
の歴史をまとめておられます。TeXでの出版とか、NLMDTD準拠のXML
使う将来像などが書かれています。


林氏講演要旨はここから入手できます

Re BCSJ論文賞とXyMTeXより)

名前: 奥村晴彦

ありがとうございます。TeXの欠点として挙げられていること
(著者がマクロを作っちゃうこととか)もおおむね納得できます。
「Incompatible with MS-WORD」というのは笑いましたが。

その下がちょうどInera社のCEOのプレゼンですね。

Re BCSJ論文賞とXyMTeXより)

名前: 藤田

藤田@湘南情報数理化学研究所です。

確かに、MS-WordTeXの互換性をいうのは筋違いですね。

化学者のほとんどは、MS-WordとChemDraw(構造式描画)を組み合わて
使っていて、この講演要旨を読む限り、日本化学会は、この方式を
追認しているということです。この組み合わせが、日本の化学の分野で
事実上の標準となる傾向が加速されそうです。

一方、アメリカ化学会は、TeX/LaTeXによるオンライン投稿のシステムを
作っていて、実際に運用しています。このことは、
「化学構造式をXyMTeXで描く(PDF)」(ホームページから入手できます)
で実例をあげて説明しています。個人的には、この程度のことは、日本化学会で
もサポートしてほしいと思っています(現在の対応は、オフラインで
の例外処理)。

しかし、現実には日本化学会が公式にサポートしない可能性が大きいので、
覚悟を決めて、LaTeX2eからNLMDTDに変換するフィルタープログラム
を作成しようかともおもっています。この場合は、著者の側でLaTeX2e
のマクロを野放図に作ることを制限するという条件が必要です。
あるいは、LaTeX2eからMS-Wordに変換して対処する道もありますが、
いかにも馬鹿馬鹿しいと感じています。

Re BCSJ論文賞とXyMTeXより)