研究能力の発達段階

追記(2012年1月13日)

書き直しました。

本文

今日、先輩の先生とたまたま、この話になったので、メモ。

卒業研究で配属されてきた4年生はほとんどの場合以下の段階を経て研究に対する能力を発達させていく

第1段階:ゼミでの発表や研究室内での議論で、自分の主張を否定するような意見に出会うと「怒る」あるいは「泣き出す」、「へこむ」

自分自身と自分の行為・表現の切り分けができていない。行為や表現(文章、口頭発表、議論の際の発言など)が良くないと指摘されただけなのに、自分の存在が否定されたと感じてしまう。

第2段階:ゼミでの発表や研究室内での議論で、自分の主張を否定するような意見に出会っても、何とか受け入れられるようになる

頭では自分自身と自分の行為・表現が切り分けができている。指摘されれば、まずかったポイントが理解できる。ただし、感情が納得しないことが多い

第3段階:他人の発表や議論を聞いて比較的細かい「よくないところ」を指摘できるようになる。

以前、先生や先輩から受けた指摘を受け売りで行えるようになる。修士1年生ぐらいでこの段階になっていただけると卒論生に細かいところの指摘をしなくて良いので、すごくうれしい。

第4段階:他人の発表や議論を聞いて、発表や発言の枠内で「よくないところ」を指摘できるようになる。ただし、改善方法は提示できない

発表や発言の枠内でよくない点が感じられるようになる。理由も説明できる。ただし、改善案はまだおもいつかない。第3段階と第4段階あたりの人はたまに攻撃的な印象を他人に与えることもある

第5段階:他人の発表や議論を聞いて、発表や発言の枠内で「よくないところ」を指摘できるようになる。しかも、改善案も提示できる

その発表の内容が理解でき、本質的な点を見抜くことができるようになった段階。第3段階や第4段階の人にいらだちを感じるときがある「そこはそんな言い方しなくても・・・」

第6段階:他人の発表や議論を聞いて、研究テーマや扱っている問題の本質的なポイントから「よくないところ」を指摘できるようになる。しかも、改善案も提示できる

研究者の卵として目指したい段階。ここまで来ると、自分の隣接分野の発表や議論を聞いても論理的なおかしい点は指摘できるようになる。なお、上には上がいるので第6段階は研究者のスタート地点


話し変わって。個人的な経験としては研究に限らず、物事の理解はまず問題点が先に見えるようになり、その後、知識と方法論の習得の結果、その問題点の解決法も合わせて提示できるようになると思う。この結果、世の中には「叱る人」「けなす人」は多いが「褒める人」は少ないのだと思う。