学生が論文を自腹を切らずに読む方法

  • とうごろぐ:論文をタダで読む方法(http://とうごろう.jp/blog/2007/06/post_269.html)

これらのうち,実際に自分が(直接)お金を払わなければならないのは,2.の「読む人が金を払う」と5.の中の「余所の大学でコピーを取り寄せる」だけですね.(授業料や税金で間接的に支払っているという話と交通費は除きます.)

つまり,多くの論文はタダで読めるということです.

というように実際には「実際に自分が(直接)お金を払わなければならない」ということがないだけであって、「論文はタダで読める」というわけではないということをお分かりのうえで書いていると思うのですが、論文を入手する機会がない人にとって誤解を招きそうなタイトルなので補足いたしたく。

現状では学術雑誌掲載、あるいは有名会議録掲載の論文を入手するためには何かしらのコストが必要であり、論文はタダでは手に入りません。また、論文はある意味では有用な情報の塊ですので、タダで手に入れられることを期待すべきではありません。価値ある情報にはそれなりの対価を支払うべきです。学術雑誌や有名な会議の論文集はピアレビューと採択率を制限することによって、ゴミをできる限り排除することにコストを支払っています。

ですから、お金がないけれども、たくさん論文を読むべき大学院生にとって、あるいは私のような駆け出しの研究者にとって、論文入手のコストは痛くてたまりませんが、それでも価値ある情報にはコストを払うべきであるという認識はしっかりないといけないと思います。

この認識の下で、Myrmecoleon in Paradoxical Library. はてな新館 - 金のかかる雑誌の論文を読めるようにする10の方法を考えると、やはりとても有意義な方法であると思います。

       1. 大学が金を払う
       2. 読む人が金を払う
       3. 書く人が金を払っておく
       4. 国が金を払う
       5. 余所の大学で読む/コピーを取り寄せる
       6. 知り合いの研究者にメールで送ってもらう
       7. 学会にメール等で聞いてみる
       8. 論文の著者にメール等で聞いてみる
       9. 著者のホームページ等で公開する
      10. 著者の所属団体で公開する

6番目の「 知り合いの研究者にメールで送ってもらう」以外は、全て論文を入手するための経費(コスト)を実際に支払う人がおり、全く持って正当な入手方法です。5番についても複写は正当な入手方法です。論文をタダで手に入れていません。自腹を切らないで済むだけです。ですので、6番目ではない方法であれば誰も困る人はいません(9番目は著者と出版社の間で困る困らないが微妙なのですが)。

ですので、大学生、大学院生、そして大学・研究所外の社会人のみなさま、myrmecoleonさんが書いてくれて、Tohgoroh Matsuiさんが箇条書きにまとめてくださった上の10の方法のうち9の方法8の方法を駆使して、ぜひ論文を自腹を切らずに入手してください。

ただし、自腹は切っていなくても論文入手にはコストが必要であり、そのコストは誰かが払っているということを忘れないでください。それを忘れると、めぐりめぐって論文を入手できなくなる未来を招き寄せてしまいます。お金を使うべきところにはきっちりお金を使う。何でもかんでもタダが良いというわけではありませんから。

追記:
ブックマークのコメントでご指摘いただいているとおり、「2」は自腹切っていますね。