「それは、***でも同じ。むしろ、***の方がもっと忙しい。???には自分がなりたくてなったのだから泣き言をいわずにやるべき。」と言わずに「それじゃあ、少しでもその状況を改善するためには何ができるかな」と聞きたい

上の日経BPのコメント欄が興味深い。

校長という種族

教頭と指導主事が“死んで”いる。教員として優秀だった人が、教頭や指導主事に昇格したとたん、膨大な文書処理業務にはまるのである。

教頭という仕事を3年以上すると、疲れ切って人柄が変わってしまうという。もともとは優秀な教員だったはずの人が、だ。

教育改革という名の下に日々量産される文書の山。文部科学省から来る、都道府県の教育委員会から来る、市区町村の教育委員会からも来る。給食の食材について、プールの安全確認について、性教育について、イジメについて、国旗国歌について、学力調査について・・・。答えなければならない調査類だけでも、小学校で年間に400本、中学校で200本ともいわれる。

というエントリーに対して、以下のようなコメントがついている。

 いろいろな面で世の中が厳しくなり、様々な調査回答要求が増えています。企業はみなちゃんとこなしています。学校も同じようにできて当たり前です。
 文書作成が必要なら、ひな型を作って空欄に埋めるだけにすれば、工数は簡単に減らせます。まさか回答を紙に書いて郵便で送っていないでしょうね。メールと添付ファイルにすれば郵送の手間を減らせます。全国の学校で同じような作業をしているのなら、全国の教育委員会事務局が共同でWebサイトを立ち上げ、ブラウザ上で文書を作成し、そのまま提出できるようにしたらどうですか。ブラウザ上でテキストを打つだけならいくらでも文書は作れるし、文書作成と送付の生産性は飛躍的に上がりますよ。当たり前の作業改善をしていますか?それをせずに、文書作成で忙しいなんて言い訳は通りません。
 結局、もっと予算をくださいもっと人をくださいという結論にしたいのだと思いますが、世の中そんなに甘くありません。私立学校や外国の学校と、体制・事務作業量・生産性について比較され、その結果、日本の公立学校が非効率で、要員のスキルが低いと言われているのではありませんか?

あのう申し訳ありませんが教頭と校長って忙しいんでしょうか?
書かれている内容は理解したのですが、それ位は普通じゃないんでしょうか?どうも忙しい自慢はあまり好きではないのですが、私どもの民間企業でも同じ様なもんです。
「ものづくり」が好きで製造業に入りましたが、実際に設計している時間よりもISO関連書類、電気安全や各種法規制関連の書類、特許調査依頼、勤務評定関連(勿論部下の分も)、社内外へのプレゼン資料、会議資料、プロジェクト毎のマネジメント関連の報告書等々の書類作成時間のほうが長いのは決して特殊な状況ではないでしょう。
そして分らず屋の上司、経営者がいるのは多くの民間企業でも見られる風景ですが、これらの環境にもめげずに"社内営業"や"根回し"に時間と労力を割き自己実現を目指しているのが殆どのサラリーマンではないでしょうか。
ですから自ら教師を目指した以上は「甘ったれんじゃない」と言いたいですね。

「教頭という仕事を3年以上すると、疲れ切って人柄が変わってしまうという。もともとは優秀な教員だったはずの人が」ということですが、申し訳ありませんが教師サイドからしか物が見えないようですね。
管理職は本人が望んでなるのでしょう?それも忙殺されるのを知っていながら。
民間企業でも管理職になれば、責任も業務も増えます。ペーパーワークも増えます。
普通の時間内に終わらなければ持ち帰ってでも仕事します。
教頭先生も、校長先生も所詮は中間管理職なのですから、自分の仕事を全うしてください。

医者、公務員、教員など「***は昔と違い急激に業務が増えて、対応できなくなっている」という事実(意見)に対して、一定の割合で「それは、***でも同じ。むしろ、***の方がもっと忙しい。???には自分がなりたくてなったのだから泣き言をいわずにやるべき。」という意見がでる。当然、この意見は情緒的面からみると正しい。だけど、なんの解決にもならない。

Aという業務が機能不全を起こしているという主張のときに、Bという業務の忙しさはAという業務と同じくらいであるから、Aは甘えているだけだという主張は、AとBという業務が質と量ともに本質的に同じもののときだけ正しい。それ以外の場合は、「あなたが泣き言いっていいなら、私も泣き言いいたい」というだけ。Aという業務が機能不全起こされるとまずいと考えるならば、機能不全をちょっとでも緩和しないとだめ。緩和している間に根本的解決をはかるのが常道。

なので、一般人である我々は根本的解決として選挙でマシな人材を選ぶという行動をとりつつ、「Aという業務が機能不全を起こしている」と主張している人から緩和策(解決策ではない)を聞き出して、機能不全を緩和するという方針をとる方が、現実的な動きであると思う。

その観点からいうと3000人の校長をヘッドハンティングせよ

(1)中学校1万校のうち3割の3000校に10年間かけて学校以外から校長を迎える。
〜中略〜

(2)教員から上がる場合は教頭からでなく校長試験一発とし、3年間教頭職を務めたあと2年間学校以外の世界でネットワークを作り、それをお土産に6年目に校長職に就くこととする。
〜中略〜

(3)全国の中学校区に、中学校の中に拠点を持つ学校支援組織を作り、国と自治体から300万円程度の事務局人件費と、同じく300万円程度、ボランティアの諸活動への謝礼金の予算をつけ、任意団体、NPO、自営業者などにこれを運営させる。

というのは根本的解決法(実際に役に立つかは別として)なので、選挙権で支援し、

だからこそ、1つだけ家庭にお願いしたいことがある。「テレビ」と「ケータイ」の使用を制限することだ。

和田中地域本部にはボランティアが60〜70名おり、常時数名から十数名が学校に訪れて諸活動のサポートをしている。スタッフの詰め所として事務局の部屋が学内にあるのがミソだ。事務局長は歴代の元PTA会長である。

という自分自身が動けばどうにかなるというものを手伝って緩和する。まあ、ボランティアはそんな簡単なもんじゃないだろうけど。

熱意のある人におんぶやだっこというのはまずいけれども、「自分はそこまで情熱や時間やお金を割くことができない、だからやらない」や「**をしないと根本的に解決できない。だから他のことをやっても意味がない」という0か1かという思考も良くない。解決が難しいときは緩和して時間を稼ぐというのは、現実的な知恵であるので汚い大人のやり方と嫌わずうまく使っていきたい。