「過去にトンデモな情報を信じていたのは何故か?」についての各自の考察

思索の海:メモ:サイエンスコミュニケーションと科学者/研究者/専門家に何を求めるか問題をきっかけとして、ばらこの日記:サイエンスコミュニケーションで素人にできることを考える(改題)(2)の以下の呼びかけで始まった「ニセ科学を信じていた過去語り大会」。

もし、自分が過去にトンデモな情報を信じていたとか、信じるだけでなくて他の人にも自信満々発信していたとか(私です)そういうことがあれば、そのプロセスをできる範囲で言語化し公開する。

一番上のエントリーから順番にどうぞ。

インセンティブは自分が制御できることがらに対して与えるべき

Irresponsible Rumors 2011経由

インセンティブで人は動くのは当然なんだが(だってそれがインセンティブの定義だもん)、そのつけかたがとてもむずかしい。人はしばしば予想外の手で、他人の作ろうとしたインセンティブの裏をかく。それは映画の中でも、娘のトイレしつけをやろうとして失敗した話で登場する。で、映画『ヤバイ経済学』では、高校生を買収して成績をあげる、という話が出てくる。実はこの種の実験はそこそこあるし、また企業でも「成果主義」と称してやっていたのはまさにこれだ。そしてだんだん明らかになりつつあることは、これが必ずしも成果を挙げない理由の一つは、どこにインセンティブをつけるかという点にあるらしい、ということ。要するに「成績があがればお金をやろう」という買収は、本人がそれに反応したとしても必ずしもうまくいかない。なぜかというと、多くの子はそもそも成績をあげるにはどうすればいいかわからないので困っているからだ。
 じゃあどうすればいいかというと、たとえば「週に本をなんでもいいから3冊読んで、その要約を書いて提出しろ、そしたら毎週お小遣いをあげる」という具合にする。そうすると、勉強できない子でも、まず何をすればいいかはわかる。そして、そうやって読んでまとめているうちに、本を読んで理解するという行動が身につく。すると結果的に勉強のやり方がわかってきて、成績があがる。
 もちろん、これは相手をみなくてはならない。でも、具体的にできそうな目標設定をして、それが結果的に遠回しでも成果につながる、というのが望ましいらしいよ。『ベストキッド』(当然オリジナルのほう)の、「わっくすおん、わっくすおふ」「ぺいんと・ふぇんす」の世界ですねー。

「お金をあげるから成績をあげろ」って言っても成績、あがらないんですよね。なぜなら成績のあげ方がわからないから。例えば「本を読め」「授業中手をあげろ」って言うとできるんですよね。具体的に言わないとダメ。どうすると一番成績が上がるのかというと「必ず1回先生に質問をしろ」って言うんです。質問をするためには自分は何がわかってないかを調べなきゃいけないから。日本でも生徒が質問をするように引っ張るような授業ってできてませんよね。たいてい先生が答えを教えてそれを生徒に覚えさせるっていう授業ですから。そんな授業じゃ勉強できるようにはならない。そういった研究をTime紙で発表してます。

上で紹介されている実験について述べたTime誌の記事Should Kids Be Bribed to Do Well in School?の邦訳、P.E.S.:教育におけるインセンティブ、あるいは勉強ワイロ

コーチングの話でも具体的にやり方がわかることを指示しなさいというのがあったような気がする。