警察や検察のリークに基づく報道

財務省の森本学園への国有地払い下げ問題で、事実が明らかになるのは歓迎だけど、検察が捜査情報をリークするのはよろしくない。警察や検察の都合のよい物語に世論誘導できてしまう。そして、国会議員がそれを「がんばれ」とするのも良くない。さらには情報源とみなされる人を特定できるような発言してしまうのは、情報源の秘匿の観点から最悪に近い。その情報源をつぶしたいという意図ならわかるけど。

www3.nhk.or.jp

森友学園に国有地がごみの撤去費用などとして8億円余り値引きされて売却された問題で、去年2月、財務省が学園側に口裏合わせを求めていた疑いが出てきました。当時、国会で財務省は野党側から「実際に大量のごみの撤去を確認したのか」などと追及されていましたが、そのさなか財務省の職員が学園側に対し「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」などと、うその説明をするよう求めていたことが関係者への取材でわかりました。大阪地検特捜部はこうしたやり取りを把握していて詳しい経緯を捜査しています。

リーク報道による世論誘導の典型的な例は前川喜平さんのやつ。
webronza.asahi.com

「やる気を出せるのがすごい」

学生に「先生はやる気を出せるのがすごい。私はどうしてもやる気をだせない」と言われた。なので、「やる気を出しているわけではなくて、やる気がなくても作業できるように道具とか環境とかを整えているんだよ」と伝えた。

たとえば、私はGTDもどき(振り返りをしないので「もどき」)を仕事管理法として使っている。

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そういえば、ライフハックという言葉も最近トンと聞かない。

再掲:うつ病や双極性障害は講義において合理的配慮を求められます

昨年の10月のエントリーですが、新学期が始まりましたので。

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大学側への周知ということでこういう資料が日本学生支援機構が出ています。どういう配慮がうけられるかの参考になると思います。

新入生諸君!4月は教職員がてんやわんやしているので2重チェックを

気がつけば、大学教員になってもう10年を結構超えていた。そんな大学の春の経験豊富な私から大学への新入生のみなさまにアドバイス。

4月から大学生活が始まって、わからないことだらけ、不安だらけだと思いますが、大学の教職員(教員や学務係のみなさま)もてんやわんやしていて、イッパイイッパイですので、ウソを教えることはなくても、アップデートされていない情報や思い違いを伝えることは結構ありえます。最低限2重の予防線をはって自分にとって不利益がでないようにしましょう。

  • 最新かつ正しい情報が掲載されているのは、入学時 or 入学ガイダンス時に配布された各種書類です。どの書類もお正月休みが終わるまで捨ててはいけません
  • 入学時 or 入学ガイダンス時に配布された各種書類の中には、卒業するまで捨ててはいけない書類も含まれます(卒業に必要な科目や要件が載っている書類というか冊子は確実に卒業まで必要です)。どれを捨ててはいけないのかわからない場合は、全部とっておきましょう。
  • 教員、職員、先輩、同級生から聴いた情報を鵜呑みにしてはいけません。必ず、別媒体の情報でウラ取りしましょう。
  • 別媒体の情報とは以下のようなものです。
    • 大学、学部、学科・専攻・コースの掲示板の掲示
    • 大学、学部、学科・専攻・コースのWebサイト、特に最近は多くの大学でWeb経由でアクセスできる教務システムを提供していることが多いですのでそこのサイト
    • 入学時 or 入学ガイダンス時に配布された各種書類
  • 教員、職員、先輩、同級生から聴いた情報を復唱して確認しましょう。「すみません、確認させてください。***は〜ということであっていますでしょうか?」 相手の言い間違いはこれで回避することができることも多いです。
  • 多くの大学で履修登録できる期間は決まっています。必ず期間と方法をチェックしましょう。
  • 大学はいろいろな締切があります。なんらかの締切確認システムを構築しましょう。ちなみに私はGoogle Calendarを使って、Webでも、スマートフォンでも確認できるようにしています。

「なんで、新入生たる自分がこんなに面倒なことやらなければならんのだ」とお怒りのことと思いますが、大学教職員の多くは、1月から仕事仕事の連続で怒涛の勢いで4月になだれこんでいるため、優秀な方々も疲れによりぼんくらになっていることが多いです。なにとぞ寛大なお心でお許しいただければと思います。

では、ガイダンスの準備に戻ります。

そもそも公文書管理が杜撰だった

記事の主旨に異論はないけど、今回の件で低下したんじゃなくてそもそも基準に達していないらしい。
www.nikkei.com

そもそも日本は公文書を軽んじてきた過去がある。1972年の沖縄返還の際に結ばれた日米の「密約」に関する文書は、日本では廃棄されたとされるが、米国立公文書館は密約を示す文書を公開した。1969年には日本と西独が「超大国」への脱皮を念頭に軍事協力を探った。核武装を含めた議論があったが、このことを明らかにしたのはドイツの外交資料だった。

学術研究には信頼性の高い文献の集積が極めて重要だ。日本の公文書の充実度合いがさらに下がり、確かさも揺らぐようなら、グローバル水準の歴史探求ができなくなることを意味する。特に文系科目の世界ランキングで下位に甘んじる日本の大学には逆風となる。

以下のエントリーで引用した部分を再度引用。
next49.hatenadiary.jp

昨今のPKOの日報問題、森友学園問題、加計学園問題など「公文書管理」が問題となっているところ、今回の記事に「奈良岡聰智:よりよき公文書管理制度のために ― イギリスとの比較に基づいて」というのがあり読んでみた。

初めて知って驚いたのは立法文書(国会関連文書)が公文書の対象になっていないという点。

立法文書に関しては、わが国では情報公開法、公文書管理法の適用対象外とされている。国会は、議事録については、帝国議会期のものも含めて、すべて冊子(官報)およびインターネット上で公開しているが、それ以外の保有資料については、ごく一部を衆議院憲政記念館や参議院議会資料室で公開しているのみである。所蔵資料の統一的目録が存在しないため、いかなる資料がどの程度残存しているのか、外部からは明らかでない。

(p. 127より)

この記事ではイギリスの公文書管理について紹介しているのだけれども、イギリスの場合は保守党および労働党が党の文書を公文書として公開しているとのこと。

そもそもの公文書館の所員数も少ないらしいし。司書とアーキビストは違うとは思うけど合い通ずる所もあると思うので、大量の司書課程卒業者を吸収できる就職先として公文書館が揃って欲しい。図書館、公文書館、博物館・美術館・動物館などが実務の根拠だけでなく、フィクションのネタ、観光のネタになるのだと思うし。

もっとも、わが国の公文書管理制度は、他の先進諸国に比べればまだ「周回遅れ」という感が否めない。端的に言えば、日本の公文書館の規模は、諸外国に比べて著しく見劣りしている。職員数だけを見ても、日本の国立公文書館(47人)は、アメリカ(2720人)、ドイツ(790人)、イギリス(600人)などの欧米先進諸国は言うまでもなく、韓国(340人)など東アジア諸国にも大きく水を開けられている(2008年の国立公文書館の調査による)。また、2014年に内閣府が実施した調査によれば、協力した地方公共団体914中、公文書管理の条例化を行っている団体は88(4都道府県、84市町村)、公文書館を設置している団体は80(28都道府県、52市町村)にとどまっている。

当該記事の冒頭部より)

隣のアメリカの大統領選でヒラリーさんがさんざんメール問題でいろいろ言われていたのに、財務省がメールの保管期限とかで問題ないとしちゃんだものなぁ。