産経新聞はBPOの意見書に反対の立場っぽい。産経新聞こそがっつり自民党に入れ込んでいて公平じゃないと思うのだけど。
リンク:憲法研究者に対する執拗な論難に答える
以下を読み始めて、「なんか言い過ぎなんじゃないか」と思っていたところ、この著者に対する反論の記事があった。
synodos.jp
全編とおして大変勉強になった。
特に面白かったのは5 憲法9条2項後段「交戦権」の解釈。原案もなんとなく、訳語もなんとなくとは…
「交戦権」の英訳語である「right of belligerency」という表現は、国際法上の概念として確立しているものではない。
〜略〜
「rights of belligerency」は、「マッカーサー元帥一流の特異の用語」であり、GHQでは意味については別に論議もしなかったとされている。
あと、日本は非核三原則の立場をとっていると習ったし、そう認識していたのだけど、政府としては自衛につかえる核兵器がでたならばその配備は合憲との解釈であったとはしらなんだ(「6 憲法9条改正について」の項)。以前、Session 22に出ていた憲法学者の方が9条は軍拡防止の効果があるので改正すべきでないと言っているのを聴いて「なんだそのへんてこな理屈」と思ったのだけど、自衛のためだから核兵器OKという理屈が通るならば、確かに怖い。
安倍首相も、自衛のための核兵器の保有は合憲であるとし、「政策論として」非核三原則を堅持すると答弁している。
関連
メモ:未承認の治療に関する一つの考え方
「こういう考え方もあるのかなるほど」と思ったのでメモ。
先進諸国では、未承認のがん治療は、研究治療として、政府に届け出をすることが義務付けられている。しかし、日本では医師が行う保険外の自由診療は、医師の裁量権として、許されている。未承認の治療、研究的治療は、患者に安易に行われるべきではない。本来は医学的に妥当であるか、また人間に投与することが妥当であるか倫理的な問題まで、第三者による厳密な審査(倫理委員会)を経てから投与されるべきものである。このことは、ナチスドイツが行った非倫理的非人道的な人体実験の反省を基にしてつくられた医学研究の倫理規範であるヘルシンキ宣言にも記載のあることである。
また、患者には生きた〝実験台〟として、研究に参加してもらうのであるから費用を患者から徴収することは、倫理的には許されるものではない。日本の治験制度(承認取得のために政府に届け出をする臨床研究のこと)では、治療費を患者から徴収することはなく、無償提供される。がんの治験では、交通費が1回の通院費用として7000円支給される。日本で未承認で保険適用にない治療法があれば、研究的な治療であり、それは基本的には〝治験〟として行われるべきものである。
2017年10月の衆議院選挙への抗議は白票+国民審査全部×で行っては?
2017年10月に第48回衆議院議員総選挙と第24回最高裁判所裁判官国民審査が行われる。
この際に、今回の衆院選が行われるに至った経緯やその後の民進党および希望の党周りのゴタゴタに対する意思表示をしたいならば棄権するよりも以下のような投票行動をして、数字として残るようにしてはどうだろうか。
- 小選挙区および比例区については白票を投じる(→ 無効票に含まれる形で公表)
- 最高裁判所裁判官国民審査については全員×をつける (→ 各裁判官への不信任数として公表)
国民審査の方は×以外の表記(空白、○など)は一律で信任としてカウントされるとのこと。また、多くの場合は最初の方の裁判官には×がつけられるが、後ろの方の裁判官には×がつけられない傾向があるとのこと(参考:【音声配信】「最高裁裁判官の国民審査〜7人の裁判官はどんな判決を下してきたのか」江川紹子×西川伸一×長嶺超輝×荻上チキ2017年10月12日(木)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」22時~))。
なので、上記の投票行動をとると、最高裁判所裁判官国民審査の不信任数の最頻値(あるいは中間値)と同じ分だけの無効票が「不満の意思を持って投じられた白票数」とみなすことができる。
- 白票を投じると組織票を持つ政党(自民党、公明党、共産党など)に有利になるのを理解する必要がある。
- この方法の利点は公的に数値として残るという点。
- 投票を棄権した場合は、選挙に関心がない人間との区別がつかない。よって、組織票を持つ党は無視しても良い。一方で、提案方法は選挙には行くという意思表示なので、次回の選挙では考慮の対象になる蓋然性が高い。
- 国民審査は形骸化しているので、こういう風な使い方をしても問題ないと思う。むしろ、この方法で史上初の罷免が起こったらそれはそれで制度改革のきっかけになるのでよい。
閣議決定と質問主意書
以下のツイートを見て、以下のようにツイートした。
今回の解散による憲法53条に基づく国会召集要求の妨害は違憲ではない、という閣議決定がなされたというニュースです。
— 木村草太 (@SotaKimura) 2017年10月6日
衆院解散は憲法違反に当たらず 政府答弁書 | NHKニュース https://t.co/7yEOaKhaFX
閣議決定が最高裁の権限を侵しているのか、閣議決定は単なる日本式会議の「今回はこういうことになりましたのでご留意ください」という単なる確認事項で何の意味もないのかどっちだ。
— next49 (@next49) 2017年10月6日
それに対してご教示いただいた。
「法的義務に従って」「回答を」「閣議決定」しただけですね。https://t.co/IR0MVkwFoN
— Eijiro Sumii (@esumii) 2017年10月8日
議長(衆議院議長・参議院議長)に提出され承認を受けた質問主意書は内閣に送られ、内閣は7日以内に文書(答弁書)によって答弁する。
(質問主意書 - Wikipediaより)
1-2. 閣議案件
内閣総理大臣は、閣議において内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議することができ、また各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができます。
1-2-1. 閣議案件の種類
首相官邸ウェブサイトの閣議案件のページ外部サイトへのリンクによれば、閣議案件には次のような種類があります。
(1) 一般案件
国政に関する基本的重要事項等であって、内閣として意思決定を行うことが必要なもの(2) 国会提出案件
法律に基づき内閣として国会に提出・報告するもの(3) 法律・条約の公布
国会で成立した法律又は締結された条約を憲法第7条に基づき公布のための内閣の助言と承認を行うもの(4) 法律案
内閣提出法律案を立案し、国会に提出するもの(5) 政令
政令(内閣の制定する命令)を決定し、憲法第7条に基づき公布のための内閣の助言と承認を行うもの(6) 報告
国政に関する主要な調査の結果の発表、各種審議会の答申等閣議に報告することが適当と認められるもの(7) 配布
閣議席上に資料を配布するものこのほか、内閣による人事や叙位・叙勲の決定も案件として閣議にかけられます。
上記の「国会提出案件」に質問主意書の答弁書が含まれる。
(3) 報告書以外の国会提出案件(主に答弁書)
衆参両議院のウェブサイトで閲覧することができます。リサーチ・ナビ「日本-議会資料」を参照してください。(閣議決定等の調べ方 | 調べ方案内 | 国立国会図書館の「2-2-2. 閣議案件の種類別に本文を探す」より)
今回の事例はまさに質問主意書への答弁書だった。
www3.nhk.or.jp
政府は6日の閣議で、先月28日の臨時国会の召集日に衆議院が解散されたことについて「いかなる場合に衆議院を解散するかは内閣がその政治的責任で決すべきものだ」として、憲法違反には当たらないなどとする答弁書を決定しました。
この答弁書は民進党の小西洋之参議院議員が提出した質問主意書に対するものです。
主意書は、憲法53条の規定に基づき民進党などが臨時国会の召集を強く求めていたにもかかわらず安倍内閣が先月28日まで臨時国会を召集せず、審議も行わないまま衆議院を解散したのは憲法に違反する行為ではないかと質問しています。
これに対し答弁書は「憲法53条による臨時国会の召集の決定と、憲法7条による衆議院の解散は別個の事柄だ。内閣が衆議院の解散を決定することについて、憲法上制約する規定は無く、いかなる場合に衆議院を解散するかは内閣がその政治的責任で決すべきものだ」として、憲法違反には当たらないとしています。
なので、別にいただいたコメントの受け取り方が適切。私のツイートは先走り過ぎていた。
閣議決定は行政府の見解を述べているだけで最高裁とは関係ないと思う。「行政府としては今回はこういう見解で、今後もこの見解に基づいて行動します」ということでは。 https://t.co/t2wuZJqHCf
— dc42jk (@dc42jk) 2017年10月6日